新宿で句会があり、出かけた。 小町忌や裏返したる男下駄 5人が選を入れてくれた。 小野小町、歌人であり、美女の代表として喧伝される。柿本人麻呂と同じ日に亡くなったとのこと。 晩年は、幸せではなかったらしいが、小町忌は、晩春の季語になっている。 弦楽の遁走曲や小町の忌 こちらは2人選。 弦楽でない方がよかったのに・・・と言う声もあった。 句会は、連句の発句の修練のために、誰かが言い出して始めた。 先生格の人が加わって、大体14,5人でやっている。 今日は14人が集まった。 無記名で投句、清記が終わってから、互選し、高得点の句から、合評する。 3句ずつ出し、集まった句の中から5句選ぶ。 みんなで忌憚なくコメントをし合い、作者が名乗る。 連句は、その場で発句を出して始めることが多いので、即吟には、皆慣れている。 これは、あの人の句だなあ、とわかる場合もあるが、名乗ってはじめて判る場合のほうが多い。 その意外性と、自分の句に誰が選を入れてくれるかの意外性が、面白い。 5時少し前に終わった。 いつもなら、ここで2次会に移るところだが、幹事役の人が、別の場所で、6時から開かれる句会に、みんなで行きませんかという。 新宿東口からちょっと距離があるが、その辺の酒場をたまり場にしている先輩格の人が、声をかけてきたという。 そこで、まっすぐ帰る年配の人たちを除き、10人がそのままそちらの会に行くことになった。 歩くとかなりありそうである。 冬ならタクシーを相乗りするところであるが、まだ明るく、暖かくもあるので、ゆっくり歩いても、間に合うでしょう、歩こうよ、ということになった。 私の足で、駅まで15分くらいだが、心臓疾患で早く歩けない人がいるので、合わせて歩いたら、30分ほどかかった。 駅を抜け、デパートの裏通りを歩き、やっと目的のところに着いた。 半世紀も経っていそうな、古い小さな居酒屋である。 周りも、同じような店が、並んでいる。 「10人も増えて大丈夫なの」といいながら、先に入口から様子を覗いた人が、「あら、Sさんが居るわ」という。 私にとって、不倶戴天の敵である。 まさか彼女が来ていたとは知らずに、延々歩いてきたのであった。 即座に私は、入らずに帰ることにした。 私たちは、飛び入りだから、主催者には、誰が来るかまで、わかっていない。 黙って帰れば、それで済む。 ところが、一緒に歩いて来た人たちのうち、二人の女性が、一緒に帰るという。 「折角来たんだから、行きなさいよ。私だけで済むことなんだから」と言ったが、二人は、もともとあまり気が進まないところを、来てしまったので、構わないと言う。 じゃ、お腹がすいたことだし、3人で何か食べて帰りましょうと、話がまとまり、一軒おいた居酒屋に入った。 そこで、ビールを飲み、少しばかりのものを食べ、2時間近く経って、店を出た。 疲れもとれ、また歩いて駅まで行った。 ひとりは、電車が違うので、そこで別れた。 新宿を、東西に跨っての、ちょっとした彷徨だった。 帰宅して、遅くなってから、仲間の男性からメールが入った。 「入口まで来て、Uターンしたのは何故か、一緒に行った連中がちょっと白けた」という内容である。 「失礼しました。天からの声で、帰った方がいいと思ったので、そうしました。あとの二人は、誘ったわけではありませんが、私をひとりにしたらかわいそうだと思ったのかも知れません」と、返信した。 詳しい事情など、皆に言うことはない。 女性のなかの少数の人たちが、うすうす知っているだけのこと、「どうして帰っちゃったんだろう」と、あれこれ推測も交えて、噂したかも知れないが、天敵と、同じところには、いたくなかっただけの話である。 そんな場合は、あとから来た方が、譲るべきだから、そうしたまでのことである。 今日は仏滅の日であった。
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