沢の螢

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新宿彷徨
2004年04月10日(土)

新宿で句会があり、出かけた。

小町忌や裏返したる男下駄

5人が選を入れてくれた。
小野小町、歌人であり、美女の代表として喧伝される。柿本人麻呂と同じ日に亡くなったとのこと。
晩年は、幸せではなかったらしいが、小町忌は、晩春の季語になっている。

弦楽の遁走曲や小町の忌

こちらは2人選。
弦楽でない方がよかったのに・・・と言う声もあった。
句会は、連句の発句の修練のために、誰かが言い出して始めた。
先生格の人が加わって、大体14,5人でやっている。
今日は14人が集まった。
無記名で投句、清記が終わってから、互選し、高得点の句から、合評する。
3句ずつ出し、集まった句の中から5句選ぶ。
みんなで忌憚なくコメントをし合い、作者が名乗る。
連句は、その場で発句を出して始めることが多いので、即吟には、皆慣れている。
これは、あの人の句だなあ、とわかる場合もあるが、名乗ってはじめて判る場合のほうが多い。
その意外性と、自分の句に誰が選を入れてくれるかの意外性が、面白い。
5時少し前に終わった。

いつもなら、ここで2次会に移るところだが、幹事役の人が、別の場所で、6時から開かれる句会に、みんなで行きませんかという。
新宿東口からちょっと距離があるが、その辺の酒場をたまり場にしている先輩格の人が、声をかけてきたという。
そこで、まっすぐ帰る年配の人たちを除き、10人がそのままそちらの会に行くことになった。
歩くとかなりありそうである。
冬ならタクシーを相乗りするところであるが、まだ明るく、暖かくもあるので、ゆっくり歩いても、間に合うでしょう、歩こうよ、ということになった。
私の足で、駅まで15分くらいだが、心臓疾患で早く歩けない人がいるので、合わせて歩いたら、30分ほどかかった。
駅を抜け、デパートの裏通りを歩き、やっと目的のところに着いた。
半世紀も経っていそうな、古い小さな居酒屋である。
周りも、同じような店が、並んでいる。
「10人も増えて大丈夫なの」といいながら、先に入口から様子を覗いた人が、「あら、Sさんが居るわ」という。
私にとって、不倶戴天の敵である。
まさか彼女が来ていたとは知らずに、延々歩いてきたのであった。
即座に私は、入らずに帰ることにした。
私たちは、飛び入りだから、主催者には、誰が来るかまで、わかっていない。
黙って帰れば、それで済む。
ところが、一緒に歩いて来た人たちのうち、二人の女性が、一緒に帰るという。
「折角来たんだから、行きなさいよ。私だけで済むことなんだから」と言ったが、二人は、もともとあまり気が進まないところを、来てしまったので、構わないと言う。
じゃ、お腹がすいたことだし、3人で何か食べて帰りましょうと、話がまとまり、一軒おいた居酒屋に入った。
そこで、ビールを飲み、少しばかりのものを食べ、2時間近く経って、店を出た。
疲れもとれ、また歩いて駅まで行った。
ひとりは、電車が違うので、そこで別れた。
新宿を、東西に跨っての、ちょっとした彷徨だった。
帰宅して、遅くなってから、仲間の男性からメールが入った。
「入口まで来て、Uターンしたのは何故か、一緒に行った連中がちょっと白けた」という内容である。
「失礼しました。天からの声で、帰った方がいいと思ったので、そうしました。あとの二人は、誘ったわけではありませんが、私をひとりにしたらかわいそうだと思ったのかも知れません」と、返信した。
詳しい事情など、皆に言うことはない。
女性のなかの少数の人たちが、うすうす知っているだけのこと、「どうして帰っちゃったんだろう」と、あれこれ推測も交えて、噂したかも知れないが、天敵と、同じところには、いたくなかっただけの話である。
そんな場合は、あとから来た方が、譲るべきだから、そうしたまでのことである。
今日は仏滅の日であった。



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