沢の螢

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「良家の奥さん」
2003年10月18日(土)

都心の連句会に行く。
この会も、足の骨折以来である。
今日は21人。4席に別れて、巻いた。
となりに幼稚園があり、運動会をやっていて、賑やかな歓声が聞こえたが、やがて静かになった。
終わって、いつものように、有志が飲みに行くことになり、外に出た。
年配の女性は、まっすぐ帰る人が多い。
それを見て、ある男性が、「良家の奥さんは、まっすぐ帰りますよ」と言った。
冗談であることは解っているし、いつもの私なら、「良家の奥さんでなくて悪かったわね」と言い返すところである。
連句が終わっての2次会は、楽しみのひとつで、呑みながら気の知れた人たちと交わす話は面白い。
全体の数は女性のほうが多いが、飲みに行くとなると、女性はぐっと減って、男女ほぼ同数になる。
「良家の奥さん」は、あまり参加しないし、女性は独身者か、準独身の不良奥さんと言うことになる。
そして、その人達のほうが、酒席に合うし、話題も豊富で、座が弾むのである。
その時も、男の人が5人、それに女性が私を入れて5人、12月の忘年会の場所探しを兼ねて、飲みに行くことになっていた。
ところが、「良家の奥さん」のセリフを聞いた途端、なぜか私は、急に、行く気がしなくなり、「じゃ、私帰るわ」と言って、「良家の奥さん達」の後に続いたのである。
呑み友達は、私がふざけているのだと思ったらしい。
すぐに引き返してくると思ったのだろう。
笑い声もした。
それを後ろに聞きながら、私は振り返りもせずに、歩を進めた。
「アラ、ホントに帰っちゃうの」という声がした。
それから引き返しても、間に合うのに、なぜか私は、引き返さなかった。
そして、歩みのゆっくりした「良家の奥さん達」のそばを抜けて、まっすぐ駅まで歩いた。
戸惑っている呑み仲間の表情が見えるような気がした。
飲み屋で、多分、話題になったかも知れない。
そこには、「天敵」はいなかったので、悪意のある噂にはならなかったと思うが、「ちょっと今日はヘンね」ぐらいの話にはなったであろう。
人間には、時として、自分でも説明がつかないような行動を取ってしまうことがある。
連句が終わり、そのあとのお酒を楽しみにして、ほかの人たちが終わるのを待っていたのだった。
「良家の奥さん」云々を言ったのは、私とは気の合う男の人である。
私が骨を折って家に籠もっていた間も、時々心配して、メールをくれたりした。
今までにも、そんなことを言って、私をからかったし、お互い、気心がわかっている。
自分の言ったことで、私が気を悪くしたと思っただろうか。
おかしいな、今日は虫の居所が悪いのかなと感じたかも知れない。
ウチに引きこもっていたから、まだ、気持ちが快復してないんだなと、思ってくれればいいが・・。
自分でも、なぜあのとき、そんな風に反応してしまったのか解らない。
多分、その言葉が原因なのではなく、私の気持ちの中に、どこか本当に愉しめない何かがあって、そんな行動を取らせてしまったのだろう。
予定外に早く帰宅したので、風邪が治らずにいる夫のために、夕食を作った。
「良家の奥さん」の主に、メールを送ろうかと思ったが、そのままにした。
ヘンに説明するより、今度連句の席で一緒になったとき、「この間は、ごめんなさい」と、あっさり謝ろうと思った。



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