a Day in Our Life
「ヨコは俺をブサイク言い過ぎやと思う」
真顔でボヤキ口調になった村上の言葉に、その場の二人は一様に目を瞬かせた。 「そらまぁ、ジャニーズの中で言うたら中の下くらいかも知れんけど、それかって一般的に見たらそんな悪ない思うで?それやのにヨコにあんまりブサイクや言われるから、最近ホンマに自分ブサイクなんちゃうかって思い始めて来たわ」 と、言い募る村上のそれは本音に違いなくて、けれどだからって悲観している訳ではない。得意のポジティブ思考で、それならそれでブサカワって線もあるわ、とか何とか。 けれどじっと村上の話を聞いた渋谷は、やや大袈裟めの息を一つ。それから少しだけ悪そうな笑い顔を浮かべて。 「ヒナ、それはちょう違う思うで。ヨコのはむしろ間逆やねん。知っとるやろ?嫌よ嫌よも好きのうち、ブサイク言うだけホンマはかわいい思てんねん」 何を今更、くらいの口調で笑い飛ばそうとするから、言われた村上も少し考えて、そう言われればそんな気もしないでもない、と思う。それならそれで悪い気はしないから、そう思っておけば幸せかな、とか。それならええねんけど、と尖らせた唇をあっさりと弓形に持ち上げて笑い出した。 「でもホンマにヨコがかわいい思てくれてるんなら、それは俺のせいちゃうねんやろなぁ」 「どういう事?」 満足げに笑みを浮かべる村上がうんうんと頷くのに、渋谷は軽い気持ちで聞いてみる。 「やってそれはヨコの為やん。ヨコの為にかわいくありたい思うて努力しとるんやから、結果そう見えるんならそれはやっぱり、ヨコのおかげやろ」 「……て、言うとるけど?そこんとこどうなん?」 ヨコちょ?と振り返った渋谷とまともに目が合った横山は、何か言おうと口を開けてみたものの、言葉にならずにぱくぱくとさせるだけで。やがて精一杯で絞り出した言葉は、 「…アホか」 だけだったけれど、その後に小さく「何でもえぇわ」と続いた言葉を聞き逃さなかった村上は、耳まで赤くなって背を向けてしまった横山の、それが肯定だと知る。 「俺、幸せ満喫やわ」 「そらごちそーさん」 言葉通りの幸福そうな笑みを浮かべた村上は、それはきれいに笑っていたから、つられて渋谷も笑い顔になる。その横で横山だけが顔を顰めていたけれど、赤い顔を火照らせて、けれどいつしかそれも、諦めたような笑いに変わっていった。
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