| 2003年04月11日(金) |
『Blue』(大ヒナ?) |
「なあ、大倉」 呼びかけられて、曖昧に返事を返す。もうちょっとでええとこやから、セーブ出来るとこやし。なんて思いながらやっさんの言葉を待った。 「会いにいかんの?」 唐突に投げかけられた言葉。誰に、なんて聞かなくてもわかってる。『彼』と同じように周りに気ぃ使いなやっさんやから、俺が誰を見て、誰を好きやなんて言わなくてもバレてる。 「せっかくの休みやのに、ここにおってええの?」 「・・・・なんで?」 「やって・・」 語尾を濁すのに、その後続く言葉に気づいてるのに知らないフリして。「やっと100人集まったわ〜」なんてゲームの話をする。
やっと舞台連投も終った「彼」が、時間を持て余してるのは知ってる。この前のテレビの撮りで回りに「なんやヒマになってもーたわ」なんて言って「オマエがヒマやったら俺なんかどないすんねん!」なんて殴られてたのを思い出す。 きっと、今なら自分が「会いたい」と一言告げれば。彼独特の笑顔と共に「ええよ」って答えが返ってくるんやろって思う。
やけど。 いつしか、その笑顔を素直に受け止められなくなった。 スキやなあって思ってた『彼』の笑顔すら、疑いはじめた今では。 会いたいってただ一言伝えることすら、出来なくなってしまった。
「素直になったほうがええと思うで」 頭をくしゃっと撫でられて。その手の感触が心地よくて。目を瞑りながらその優しさを受け止めていた。 「やっさんは優しいな」 言うと、阿呆なんて照れたような口調で返されて。その言い方が優しくて。やっぱりやっさんは良いなあ。スキやなあって思った。 やっさんみたいに、優しい人を好きになったら。きっと幸せやったんだろなって思った。 『彼』みたいに、誰にでも優しくて。本心をうまく隠して嘘をつくような人やなくて。やっさんみたいに、本当に優しくてイイ人を好きになったら、良かった。 「やけど、スキなんやろ」 言われて、否定出来ないのが悔しい思った。
なんで、あんなに残酷な人を好きになってもーたんやろ。 こっちが勘違いしてしまうくらい、優しくて。誰にでもええ顔する人。 あんな人やって知ってれば、スキにならへんかったのに。 せめて、こんなに『彼』との距離が縮まる前に・・・・気づかせてくれれば。 そしたら、こんなに気持ちが膨れ上がることはなかったのに。
内みたいに楽天的にもなれずに。渋谷くんみたいに悟りを開くことも出来ずに。錦戸くんみたいにもがくことも出来ずに。 ただ、自分の心にある熱を持て余すばかりだった。
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