Monologue

2007年02月15日(木) 聖バレンタインの帰還 1 (『カブト』ネタです)

(三島と根岸を倒してから一年後・・・

ワームはほぼ殲滅されZECTは解散、
加賀美 新は警察学校を卒業して都内某『派出所』に勤務、
天道 総司はあの『鈴木さんが造った豆腐』を買う為にパリへ行き、
人々は命を賭けて闘ってくれたヒーロー達の名前を忘れてしまう程、
平和ボケしていたが、
そんな世の中に新たな新の敵が出現しつつあった・・・その名は、)


東京タワー近くにある(らしい)フランス料理店『ビストロ・サル』
まるで戦争の如くバタバタと忙しかった店内もランチ・タイムが終了し、
ディナー・タイム前の仕込と従業員の食事、休憩の為に一時閉店している。
さて『今日のひよりみ・まかない』を食べた後、
ひよりと店長の弓子はそれぞれ私用で外出してしまい、
店内の厨房で蓮華は一人ごそごそと何やら拵えている。

「出来た〜!
『バレンタイン・スペシャルメニュ〜〜〜vvv』」
ぱちぱちぱちぱち・・・と完成した料理の皿の前で一人手を叩いていたが、
ふと、華奢な肩を“すとん”と落としてフゥ・・・と溜息を吐いた。

「でも・・・最近誰も試食してくれなくなっちゃった・・・

師匠はパリから帰って来ないしィ、
加賀美先輩はおまわりさんになっちゃってから、
忙しくてなかなか食べに来てくれないしィ、
ひよりさんは見向きもしてくれないしィ、
弓子さんは一口食べただけで、お腹壊して一週間入院しちゃって以来、
アタシが厨房に入るのも禁止してるしィ・・・

でも料理作るのって、超〜楽しィ〜♪から、やめられないのよねェ〜♪」

“カラカラカラ〜ン”と鐘の音が響いて誰かが店内に入って来た。

「あ!すぃませ〜ん!まだ準備中なんですけどぉ・・・」

店内に入って来た人物を人目見て、想わずハッ!と蓮華は息を呑んだ。

その人物は、
まるで結婚式の新郎かジャ●ーズのコンサート衣装の如く派手なフリルでフリフリフリ・・・と飾り立てられた純白のタキシードを身に纏っていた。

だがそんな衣装を簡単に着こなしてしまう程、彼の顔立ちは端整で美しい。
ボーク●製スーパードルフィかビスクドールを想わせる綺麗なその顔に、
人懐こそうな微笑みをニコニコ浮かべながら青年は厨房に入って来た。


「美味そうな料理だな?これは何と云う料理なんだ?」

「あ・・・は、はい!
『バレンタイン・スペシャルメニュー』の『ちょこッと★チョコレート』です、
けど・・・」

問われて反射的に答えを返してしまいながらも蓮華は、
彼がそこに存在してる事実が信じられなかった。

だが、瞳の前の人物は平然とした態度で蓮華が作った料理の皿の上から、
およそ1立方センチメートル程度の直方体の塊をチョイと摘み上げ、
“あ〜ん”と口に放り込んでモグモグ咀嚼すると、

「う〜ん・・・今度はもっと沢山食してみた〜い〜!」

その時、
“カララララン・・・”と鐘の音を響かせて『サル』の扉が開き、
また誰かが店内に入って来た。

「ウィ〜ッス!
 弓子さ〜ん!頼まれてた『義理チョコ』買って来ました〜〜〜!」

『義理チョコ』がパンパンに詰め込まれた大きな紙袋を抱えた加賀美巡査
(今日は非番らしい)は店に入ると、
何気無く厨房を覗き込んだ途端、
「・・・・・ッ?!」
想わず抱えていた袋を床に落としてしまった。

袋の中のハートの大半は、
瞬時に半分こか、或いは粉々に粉砕してしまったに違いない。

加賀美は蓮華の傍らに立っている人物を
大きな瞳を見開いて凝視したまま、
凍り付いてしまった様にその場に立ち尽くす。

ゴク・・・ッと反射的に喉を鳴らして、唾を飲み込みながら、
加賀美は彼の名を呼んだ。


「・・・・・・剣?」



(続く)



(自分勝手に『カブト』の続編みたいな物をつらつら書き始めてみました。
好きな物をのびのびゆったりマイペースで 心安らかに書いて行きたく想います)


 < BACK  INDEX  NEXT>


ななか [HOMEPAGE]