Monologue

2006年09月28日(木) 僕と『匠』の生きる道

11月のダンス公演用の衣装を縫う事になった。

芝居でもダンスでも、とにかく衣装を縫わねばならぬと云う現実と対峙する度、
“ああ!何で『洋裁』を習っておかなかったんだ〜(涙)”と、
いつもいつもいつもいつも・・・・・・(以下略)後悔するワタクシ。

何しろ先天的に不器用で、
おまけに頭も悪いので、モノを造る事自体は好きなのだが、
綺麗に造る才能がまるで無いのだ。
(『洋裁』に限った事ではありませぬが・・・)

実は会社の近所で月謝5000円の洋裁教室を発見していたのだが、
残念ながらアクションの稽古と重なってしまい、泣く泣く断念した。

一人で衣装を造れる自信が全く無いので、ウチの母に相談する。

ウチの母は、かの『文化服装学院』を卒業して『洋裁』の先生の資格を持ち、
他にも趣味で編物やレース編などもやっていたスゴイ人である。
なのにアタシは・・・(以下、愚痴になるので割愛)


さて、今回の公演に一緒に出演するOちゃんが作ってくれた型紙と
出演メンバー各自に手渡されたスカート用の布地を拡げて母に見せた処、

「この布は縦で取るの?それともバイヤスで取るの?」

バ、バ、バ、バイヤスっっって何でしょうか???
確かOちゃんはそんな単語は言ってなかった筈だが・・・

「それから腰に巻くリボンの出来幅は何センチ?
ギャザーは寄せるの?どうなの?」

首を傾げたままフリーズしてしまった私に向かって、
母は情け容赦無く専門用語交じりの質問を“ダダダダ・・・”と一斉掃射する。

「(Oさんに)ちゃんと尋いて来なきゃダメじゃないの!」

最後にトドメの一撃を喰らわされた私は慌ててOちゃんにメールで質問した。

Oちゃんからの返事には質問の答えの他に、
「細かい処は自分で工夫してみて下さって構いませんよ」と優しく書き添えられていた。


普段の日常生活で着る洋服と違い、
舞台の衣装は『脱ぎ着がし易い、動き易い、造るのが(比較的)簡単』等の事項が優先されるのだが、
やはり正式に洋裁を習っていた母曰く、
「そんな造り方は絶対有り得ない!」と云う点が多々見受けられるそうだ。

たとえば、
「スカートの裾の処理はどうするの?」と云う母の質問に、
「Oちゃんは切りっ放しで良いって言ってたよ」
そう答えた途端、母の顔面が蒼白になった。

「もし糸のほつれが気になる様ならライターの火で炙ればOKだって・・・」

すると母は、ガタガタと小刻みに震え始めてしまったのだった!


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