とうの昔に塞がっていたとばかり想っていた胸の奥の傷痕が
ふとした弾みでパッカリと大きく口を開けてしまった
真っ赤な血を流している傷口が ズキズキズキ痛むのに
あまりにも傷口が大き過ぎて なす術がない
おろおろするばかりの私は
靴下の親指に大きな穴が開いているのに ふと気付く
それが何だか 自分の心に開いた穴みたいに見えて
堪らなくなって針に糸を通してチクチクチクチク縫い始めた
チクチクチクチクチクチクチ……
胸にポッカリ開いた穴は
チクチクチクチクチクチクチ……
もうどうやっても塞がらないけど
チクチクチクチクチクチクチ……
せめて靴下の穴は
キレイに塞いであげよう
チクチクチクチクチクチクチ……
この靴下の穴みたいに 心の穴も塞がったら良いのにな
チクチクチクチクチクチクチ……
ふぞろいな縫い目が 残っても構わないから
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