Monologue

2006年02月16日(木) クラピカのボーダーライン日記

“悪ィ!急な残業でギリギリになっちまった!
 ただいま電車で現場に急行中〜!(でも乗ってんのは鈍行だぜ!)”と云う
レオリオからのメールが私の携帯に届いた。

パタン、と軽い音を立てて閉じた携帯の蓋には“18:48”も文字が表示されている。

おそらくレオリオが到着するのは映画の上映開始時間である19時ギリギリだろう。

まぁ、映画は始まる前に必ずうんざりする程大量の予告編を流すから、
19時を多少過ぎてから入場してもさして問題は無いだろう。

日没直後、急に冷たくなった北風に思わず身を竦める。

ふと、映画館の入口に立掛けられた幾つかの立看板の一つに瞳が止まった。

『恐怖の一線を越える!』と云う大文字の見出しが書かれた新聞記事が貼られている。
文字と並んで掲載されている写真に写っているのは、
私達がこれから観ようとしているホラー映画の監督だ。

どうやら試写会の時のインタビュー記事の様だ、
好奇心に駆られて何と無く文字を瞳で追って行く・・・・・・

“ただビックリするだけの映画では無い、真の恐怖を体感出来る映画に仕上がった。
今までの単なる『恐怖映画』から一線を越えた作品なので、
まだ人前で手すら繋げないウブなカップルが一線を越えるきっかけになるに違いありません!”


な、な、な、何だと?

い、一体どんな一線を越えると云うのだ?

し、しかも・・・・・・人前で?



「悪ィ!待たせたな!」

掛けられた声にハッと我に返って振り返ると、
黒いロングコート姿のレオリオがハァハァと息を弾ませながら立っていた。

「さぁ、とっとと入ろうぜ!急がねェと始まっちまう!」

そう言いながら私の肩を抱くとチケット売場へズンズンと歩を進めて行く・・・・・・


「な・・・なぁ、やはり別の作品にしないか?」

窓口の女性に“19時からの回を二枚”と申し込んでいるレオリオを遮る様に慌てて声を掛ける。

「何だ?今更怖気づいたのかよ?
 ・・・やっぱ『ホラー』は怖ェんだろ?」

唇の端をニヤリと上げながら意地悪そうな口調で言うレオリオに、

「バカ!そんなんじゃない!ただ、その・・・・・・」

こ、こ、心の準備が・・・・・・


言いたい事が上手く言えず口篭っている内に、さっさと代金を払ってチケットを受け取ったレオリオは再び私の肩を抱いて耳元に唇を寄せると小声でそっと囁いた。

「もし怖くて我慢出来なかったらオレに思いっ切りしがみ付いて来て構わねェからよvv」


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