Monologue

2005年06月14日(火) レオリオの『誰がこまどり殺したの?』日記 2

「それではこちらでお待ち下さい、
 ただいま国王陛下を呼んで参りますので……」

そう言いながらメガネを掛けた係の男は丁寧にぺこりと頭を下げてドアの外へ出て行った。

この国の王宮で働く国王の側近たちは全員同じ制服を着用しているだけでなく
全員同じメガネを掛けている上、
髪型までも同じオール・バックにし頭の後ろで一点に集中する様にきちんとまとめている。
金髪の側近が多い所為か、何だか『タマネギ』みてェな髪型だ。

お陰でどいつもこいつも全く見分けが付かなくて困っちまう。

それにしても、まさか本当にオレが名前を言うだけで
王宮の奥の謁見の間までこんなに簡単に入れちまうなんて、
やっぱりクラピカがこの国の国王陛下の影武者をやってるってのは本当らしい……



“なぁ、もし良かったらこの国に遊びに来ないか?
 せっかくだから『恋人』のお前の顔も見てみたいしな…”と、先日の電話でクラピカは言った。

「見てみたいって、こないだ会った時とあんまし変わってねェけど……」

“ひ、久し振りに見たい、と云う意味だ、美少年の繊細な心理が判らないのか?”

「美少年の繊細な心理の意味は良く判んねェけどよ、久し振りにお前ェに会えるんだろ?」

嬉しさの余り、ついオレの口調は弾む。

「で、どうすりゃお前に会えるんだよ?」

“何、簡単な事だ。
 お前が王宮の門番に名前を言って、国王陛下にお目通り願いたいと申し出れば良い”

「え?それだけで良いのかよ?」

“ああ……但し私の名前は絶対に出すなよ!

何しろ私が国王陛下の影武者を務めているのは一握りのVIPしか知らない
最重要機密なのだからな、

じゃ楽しみにしてるぞ、オレオレvv”


ったく、アイツは本当に冗談がキツくなっちまった様だ。

一体誰の影響だ?今の雇い主か?……なんて事を考えていると、


「オレオレ?」

紫色のビロードのカーテンの向こう側から澄んだ声がオレ(?)を呼んだ。

数ヶ月振りに聴く、愛しい『恋人』の声に“ドクン!”と心臓が大きな音を立てる。

「ク、クラピカ?」

「久し振りだな、元気だったか?」

「ああ、お前ェこそ……

 国王陛下の影武者だなんて仕事、危ねェんじゃねェのか?」

「……優しいのだな、お前は」

妙にはにかんだ様な彼の口調に“ドクン……”と、また心臓が弾ね上がる。

照れ隠しに“ボリボリ……”と床屋で刈り立ての髪を軽く掻きながら、

「なぁクラピカ、
 そんなカーテンの裏なんかにいねェで、こっち来いよ」

「そ、それは……その…」

だがクラピカはゴニョゴニョと言い難そうに口篭もってしまった。

「あ!もしかして、この部屋、あのタマネギ連中に監視されてんのか?」

キョロキョロと周囲を見廻してみたが、特に監視カメラらしき物は見当たらない。

「いや、それは無い。

 安心しろ、ちゃんと人払いをしてあるから……」

“ドクン……”と、また心臓の音がデカくなる。


『人払い』って事は、つまり……
今、この部屋はオレとお前の二人だけ?

“ドクン、ドクン、ドクン……”と、心臓が一際速く打ち始める。

ダメだ!もう我慢出来ねェ!!

「クラピカ!」

オレは脱兎のごとく駆け出すと、紫色のカーテンをバッと勢い良く捲り上げた……すると、

「ぎゃぁぁぁぁッ!な、な、な、何だ!こ、この化け物はッ!」

何と!瞳の前に居たのはクラピカとは似ても似つかない
約2・5頭身のブタまんじゅうを思わせるこの世の物とは思えねェ化け物だった。


「逢いたかった〜!!もう私を離さないでくれ〜!!」

そう言いながらオレにガバッと抱きついて来やがった化け物の“ムニュッ!”と云う
何とも形容し難いイヤな感触。

「は、離せ!離しやがれっ!オレはブタまんじゅうといちゃつく趣味は無ェッ!!」

「つれないではないか?オレオレvv久し振りに会った『恋人』に対してvv」

クラピカそっくりの声で囁きながら、
オレの腹にふくよかな頬をギュウッ!ギュウゥゥッ!と押し付けて来る……


「レ…レオリオ!?」

不意に背後から掛けられた澄んだ声にオレはハッと振り返る……と、

瞳の前に、まぎれもないオレの『恋人』・……
クラピカが山積みになった書類を両手一杯に抱えたまま呆然と立ち尽くしているじゃねェか!

「ク、クラピカ!」

「どうしたのだ?レオリオ、

 そんなヘチャムクレのブタまんじゅうと抱き合ったりして……」


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