(“バッテラ氏 『G・I』から謎の撤退!?”だとォ?)
先刻、自分で淹れたモーニング・コーヒーを啜りながら、 ぼんやりと眺めていた朝刊のトップ記事にレオリオは寝惚け眼を釘付けにされる。
(え〜と…… “あれ程、執着していたゲームのクリアを突然諦めた理由について氏は一切ノーコメント。 尚、プレイヤー達への多大な違約金の支払いの為、 バッテラ氏は動産・不動産を処分し始めている……”か)
レオリオはズズ…ッと音を立ててコーヒーを啜った。
(アイツら…今頃、どうしてんだろうな?)
バッテラ氏所有のソフトで『G・I』をプレイしている筈のゴンとキルアからは 未だに何の連絡も無い。 もし二人が現実世界に戻って来ているのなら、必ず何かしら連絡をして来る筈だ。
それが無いと云う事は、彼らはまだゲームの中にいるのだろう。
(今頃ラス・ボスと戦ってるのかもしれねェなァ・・・)
“ガッタ〜〜ンッ!!”
突然、アパート中が引っ繰り返りそうな大音響がしたかと思うと、 鬼の如き形相をしたクラピカがキッチン・ルームにバタバタと勢い良く駆け込んで来た。
「何故、私を起こさなかったのだ?答えろ!?」
燃え盛る炎の様な緋赤色の瞳がキッ!とレオリオを睨み付ける。
「起こしてやったじゃねェかよ!何度も、何度も……」
レオリオは呆れ果てた様にフゥと溜息を吐いた。
そう!起こしたのだ。
昨夜クラピカに起こす様に指定された6時10分前から、 10分おきに何度も何度も何度も……(以下略) 声を掛けてやったにも関わらず、 この低血圧の同居人はちっとも瞳を覚まさなかった。
しかも、つい7分前に声を掛けた時には、 クラピカ愛用の『目覚まし時計』の音声と間違われ、 顔面をガシッと掴まれたレオリオは、あやうく壁に叩き付けられそうになった。
「あぁ!もう間に合わないでは無いかッ!」
絶望的な悲鳴を上げながら、 クラピカは鞄を小脇に抱えてダダダダ〜ッ!!と玄関へ向かって走って行く。
「おい! 待てよ!クラピカ!!」
レオリオが椅子に座ったままクラピカの背中に向かって声を掛けた。
「何だ?」
不機嫌そうな声が返って来る。
「忘れモンだぜ!」
「何だ?何だ?何を忘れていると云うのだ?私は……」
慌てて踵を返して戻って来たクラピカは、 テーブルに鞄を置き、蓋を開けてゴソゴソと中身を確認し始める。
「ハンカチ…ティッシュ……定期…財布…歯ブラシ……携帯……フロッピィ・ディスク…… 折り畳み傘……懐中電灯…… え〜と、それから……」
無我夢中で『忘れ物』を探しているクラピカの細い身体を、 グィッ!と強引に抱き寄せると、 レオリオはクラピカの唇にチュッvと口付けた。
「……な、な、何をするのだ…ッ!」
「忘れちゃダメだろ?『いってきます』のチュウvv」
烈火の様な緋色の瞳を大きく見開いたクラピカが繰り出した『硬』で固めた鉄拳を、 ヒョイ!と軽く避けると、
「早く行かねェと遅刻しちまうぜ♪」
レオリオはニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
「く……ッ!」
くやしそうに細い眉を顰めながら、手荒く鞄に荷物を詰め直すと、 クラピカは足早に玄関から飛び出して行く。
“バッタ〜〜ンッ!!”
アパート中に亀裂が走りそうな程の大音響を立ててドアが閉められた。
「あれ?」
ふと、レオリオは床の上に落ちているフロッピー・ディスクに瞳を留める。
(アイツ、これが無いと困るんじゃねェの?)
「く、来るな!バカ!」
ひらひらと頭上でフロッピー・ディスクを振り乍ら 後を追い掛けて来るレオリオに向かって、 クラピカは耳まで真っ赤になって叫びながら、必死に走った。
「お〜い!クラピカ!マジで忘れモンだぜ〜!」
「こ…こんな人前で! 何をしようと云うのだ?!この恥知らず〜!!」
かくしてレオリオは、 そのままクラピカの職場まで追いて行ってしまいました……とさ。
めでたし、めでたし(←?)
(勿論、この二人がこうやって一緒に暮らしている筈は無いんですが…… 彼等が原作に登場するまでのちょっとした『妄想』ですので見逃して下さい。
いつもワンパターンですみません、本気で精進します(涙))
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