「なぁ、クラピカ……」
夕方から降り出した雨の中、 1本の黒い傘の下でレオリオは傍らのクラピカの耳元にそっ…と唇を寄せて、小声で囁く。
「せっかくだからよ、今夜は外でメシ喰ってかねぇか?」
だが、 「お前のそう云う、やたら無駄使いをしたがる処が、 我が家の貯蓄がなかなか増加しない原因だと私は考えるぞ!」
鼻先にピン!と人差し指を突き付けられ、つれない答えをキッパリ返されたレオリオは、
「別に良いじゃねぇか、たまにはよォ……」
拗ねた様に頬を膨らませてブツブツと呟く。
「帰ってから夕飯の支度すんの面倒臭ェじゃねェかよ」
「・・・・・・支度なら出来ている」
ぼそり・・・と、俯いたまま不機嫌そうな声が言う。
え?と思わず耳を疑いながらレオリオは傍らの小さな金髪の頭に視線を落とす。
「メシ・・・って、作ったの?お前が?マジで????」
心底意外そうに黒い瞳を見開くレオリオに、クラピカは静かに答えた。
「ヒマだったから、な・・・」
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