Monologue

2002年07月06日(土) 星に願いを(クラピカ編)

「笹の葉、さ〜らさら〜♪軒端にゆ〜れ〜る〜♪」と口ずさみながら、
ニセ・クラピカは、赤・黄・青・・…色とりどりの短冊が吊るされた゛ササの樹゛を見上げた。

『レオ×クラ×ンド』では、
この゛ササの樹゛に願い事を書いて吊るしておくと、
大魔法使いキルアチョの誕生日の7月7日に、
お星様が願いを叶えてくれるかもしれないと云う伝説がある。

願い事が本人の努力と関係無しに叶う事を『棚からおはぎ……』では無く
『棚からぼたもち』と云う事から7月7日は『たなぼた』とも呼ばれ、
7月7日に゛ササの樹゛に願い事を書いた短冊を吊るす者達は後を絶たない。

(私も短冊に願い事を書いて吊るしてみようかな?
゛ハニーvvと甘い夜が過ごせます様に・・…゛とか♪)

その時、

一陣の風が吹いた弾みで外れた短冊の一枚が、ニセ・クラピカの足元にヒラッと落ちた。

(何だ?)
と思いながら拾い上げると、その短冊にはこう書かれてあった。


゛山へ修行に行ったクラピカが、早く帰って来ます様に   レオリオ゛



゛コンコン……゛と山小屋のドアがノックされた。

師匠の作衣にアイロンを掛けていたクラピカは、

(誰だ?こんな時間に……)と、立ち上がって玄関に向かった。

「誰だ?」とクラピカが問うと、
「私だ」と自分と全く同じ声が返って来た。

(この声は……まさか!?)

勢い良く扉を開けると、
予想通りクラピカに瓜二つの少年・……ニセ・クラピカが立っていた。

「元気そうだな、唐変木」
「何の用だ?こんな時間に……」

迷惑そうに眉を顰めたクラピカに向かって、

「ご挨拶だな……
私はハニーvvが『たなぼた』の願い事を書いた短冊をわざわざ届けに来てやったのだぞ」

「レオリオの?……何故レオリオが書いた短冊をわざわざ私の処へ届けに来るのだ?」

「……読めば判る」

そう言いながら、ニセ・クラピカが懐から取り出した短冊を受け取ると、


゛山へ修行に行ったクラピカが、早く帰って来て
 俺にあ〜んな事やこ〜んな事をしてくれます様に   レオリオ゛

(アイツ……!!)

改竄されているとは露知らず、クラピカは願い事の内容に頭を抱えた。

「『たなぼた』の日、せめて1日だけでもハニーvvの処へ帰ってやったらどうだ?」

「しかし……前半はともかく後半は……
こんな願い事をするなんて、一体レオリオはどういうつもりなんだ?」

「まぁ、未だに愛情こもった『お弁当』も造れない唐変木のお前には
所詮無理な願い事だろうな、ああ可哀想なハニーvv……」

クラピカはハッと顔を上げた。
不敵に微笑うニセ・クラピカと視線がぶつかり合う。

「お前の代わりに、私が行って、あ〜んな事やこ〜んな事をタップリサービスして
ハニーvvの願い事を叶えるとしようか?

幻の『ハンター・ランキング』(ジャカジャ〜ン♪)
『レオリオがクラピカに着せたいと思っているお洋服 第1位』の衣装もバッチリ!!
用意したし♪」

「そんなランキングは『HHR』で放送されていない筈だぞ!!
千葉県にお住まいのハンター・ネームななかさん(仮名)の
採用されなかったお葉書ネタじゃないのか?(←(−−))」

「だから『幻』だと言ったではないか?
フッ・…私の愛のリサーチは完璧なのだよvv さて、ではそろそろ行くとするか」

(あ……)

クラピカはゴクッ…と息を呑んだ。

「邪魔したな、唐変木」

そう言いながら、くるり・・…と踵を返したニセ・クラピカの背中に向かって、

「ま……待てッ!!」

掛けられた声に、ニセ・クラピカはピタッと足を止めて振り返った。


「……゛あ〜んな事゛や゛こ〜んな事゛とは…具体的に、その…一体何をすれば良いのだ?」

戸惑いながら言い難そうに尋ねるクラピカの耳元に唇を寄せると、
ボソボソ・・…とニセ・クラピカは小声で囁く。

「な……ッ!?」

耳まで真っ赤になって大声を上げたクラピカを、
ニセ・クラピカはキッ!と鋭い瞳で睨み付けると、

「久し振りに逢うのだろう?
それ位のリップ・サービスは当然では無いかッ!!」

「でも、そんな……事・…」
頬を朱に染めて恥ずかしそうに俯くクラピカに、

「……だったら、私のフリをして行ってみたらどうだ?」

ニセ・レオリオの突然の提案に、
「え?」と、クラピカは首を傾げる。

「『これ』は全部『ニセモノ』がやっている行為なのだと云う前提にしてしまえば、
幾ら堅物のお前でも、少しは大胆な真似が出来るのでは無いか?」

「し、しかし……」
「お前が行かないのなら、私が行って、たっぷりサービスvvするまでだ」

ぐっ……と絶句したクラピカを見つめながら、ニセ・クラピカはニヤリと唇の端を上げた。


「ずっと一人ぼっちの夜を過ごし続けて、
 さぞかしハニーvvは寂しがっているだろうからな……」


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