Monologue

2002年06月16日(日) 衣装合わせ

(この『日記』はフィクションであり(←『日記』なのに?)
実際の人物・団体・ミュージカル公演・『H×H』のキャラクターとは一切関係が有りません。
……とは云え本当に好き勝手な事を書いてしまっていますので、
不都合な点が有りましたらお手数ですが御連絡下さい(^^;))


『H×H』のミュージカル第2弾の上演がめでたく決定した。

『グリード・アイランド』内のゴンや、ハンター試験合格後のキルア、
そして受験勉強中のレオリオと何故か彼と同居中のクラピカ始め出演者達が
演出家Mrヒラミーツの元に呼び集められた。


本日は(唐突だが)『衣装合わせ』の日。

稽古場に召集された出演者達の眼前に
今回の舞台で使用される衣装がズラリと並べられている。

ゴンとキルアは今回新たに作られた衣装に嬉しそうに袖を通す。

「ちぇっ!俺達は前回のままかよ……」とレオリオは舌打ちしながら小声でブツブツ呟く。

「お前はスーツだから新調しても見た目はほとんど変わらないから良いではないか?」
傍らでやはり前回と同じ青マントの衣装に身を包んだクラピカが言うと、

「あのな、こういうのは気持ちの問題なんだよ!
新しい衣装でこう……身も心もリフレッシュされてよ、今度の舞台に臨みてぇじゃねぇか?」

「レオリオ、実を言うと私もお前と同じ気持ちなのだ……」

俯きながら言うクラピカの言葉にレオリオは“うんうん”と頷く。

「レオリオと違って、女の子達から絶大かつ不動の人気を誇るこの私が、
何故オニューの赤の衣装では無いのだ?不条理極まりないではないか!」


「……おい?今の言葉は聞き捨てならねぇぞ?」

ピクッ…と太い眉を不機嫌そうに顰め、レオリオはクラピカを鋭く睨み付ける……と、

「仕方無いでしょ?予算が足りないんだから……」とダイレクトな現実を言い放ったのは
ベリーキュート★な演出家、Mrヒラミーツその人だ(平○さんゴメンナサイ)

「ゴンとキルアは主役なんだし、まだ子供だから使用する布地も少なくて済むから良いけど、キミ達二人はそうは行かないでしょ?パパとママは『大人』なんだから我慢してよ……」

「だっ……誰がパパとママだっ!」

両瞳と両頬を真っ赤に紅潮させたクラピカがMrヒラミーツに向かって言葉を投げる。


「予算不足って言ってたけどよ?
だったら何でヒソカのシーンだけで製作費20億ジェニーも掛けてんだよ?
不公平じゃねぇか?!」

「だってお友達に…………じゃない、ヒソカに殺されたく無かったんだもん!!」

まるで小鹿の様な黒い瞳をうるうる…と潤ませながらMrヒラミーツは泣きそうな声を漏らす。



「・……主役にしない代りに、ヒソカの登場シーンには予算を掛けろと脅されたそうだ」

“ならば仕方が無いか……”というクラピカの言葉に頷きながら、

「誰だって命は惜しいからな」レオリオは微かな溜息と共に呟いた。


「ちょっと!Mrヒラミーツッ!!」

甲高い声が周囲に響き渡った。

稽古場の天井を劈く様なウルトラ・ソプラノ・ヴォイスの方を
Mrヒラミーツとレオリオ、クラピカが振り返ると、

今回の出演者の一人であるキルアの母 キキョウ・ゾルディックが
ゴシック・スタイルの美麗なドレスに身を包んで立っている。


ドレスの生地に織り込まれた金糸銀糸に照明が反射してキラキラと眩く輝いている為、
常人の瞳では3秒以上の直視は到底不可能だ。
(↑こんな衣装の人を舞台に立たせてOKなのだろうか?(^^;))

「舞台であたくしが背負うダチョウの羽根が、た〜った300本ぽっちだなんて
一体どう云う事ですの?せめて1000本は背負わせて頂かなくては!!」

「ダメです!!」

高飛車に言い放つキキョウに向かってMrヒラミーツはキッパリと断言する。


「そりゃそうだ、制作費足りねぇんだからよ……」とレオリオが小声で呟くと、

「お金に糸目は付けないと申し上げましたでしょ?
あたくしはゾルディック家の誇り高きQUEENですのよ!」

…………どうやらキキョウの衣装は全て自前らしい(−−)


「1000本も背負われたら、他の役者が舞台の上を歩けないでしょう!!
演出家の身にもなって下さいよ〜!!」

Mrヒラミーツの小鹿の様なカワイイ雄叫びを聞きながら、

「300本も羽が背負えりゃ充分じゃねぇかよ……

 あ〜あ、俺もせめてネクタイ1本位は新調したいぜ」


溜息混じりのレオリオの言葉にクラピカは静かに頷きながら呟いた。

「私もせめて100本位は羽根を背負いたいものだ……」


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