| 2002年06月08日(土) |
『ニセモノ×ニセモノ×inレオクランド』（ＣＤネタ再び） |
「あ〜あ…ハラ減ったなァ……」
レオリオはグゥグゥと泣き喚く己のすきっ腹を右掌で撫でながら、
相方のクラピカと並んで“レオクランド”の森林の中を彷徨う。
「街にはまだ着かねぇのかよ？……美味い喰いモンとキレイなお姉さんの居る街にはよォ」
ブツブツブツブツ………と悪態を吐いているレオリオに向かって、
「我慢しろ！！」とクラピカは容赦無く一喝する。
「地図に依ると、この道で間違い無い筈なのだが……」
僅かに不安そうな翳りを帯びるクラピカの声に、レオリオもいささか心配になる。
「おいおい……大丈夫なんだろうな？
こんな深い森ん中で迷子になんかなっちまったら堪ったもんじゃねぇぞ、オイ！」
「うるさい！耳元で喚くな！地図に集中出来ないでは無いか！」
“ピシャリ！”と鋭い口調でクラピカに言われ、レオリオは“ハァー”と溜息を吐く。
しばし、お互い無言のままで森林の中をトボトボと歩く。
“グゥグゥ……”と泣き喚くレオリオの腹の虫の声だけが哀愁めいて響く。
「……それにしてもハラ減ったなぁ……」
「ではこれを喰うか？」
……と、クラピカは携帯食の王道『カ○リー・メイト・フルーツ味』の黄色い箱を
懐から取り出す。
「って、さっきもそれだったじゃねぇかよ！」
すかさず不満そうな言葉を返すレオリオにクラピカは形の良い眉を顰めると、
「何を言う？栄養バランスは満点なのだぞ！」
「バランスは零点でも、
俺は肉とか魚とか、もっとちゃんとメシらしいメシが喰いてぇんだよっ！！」
「その通りだ！！」
突然、何処からとも無く掛けられた声に二人は思わず絶句する。
“声”は構わず続ける。
「大の男が１食たったの４００キロカロリーしか摂取しないなんて、具の骨頂では無いか？
ハニーｖｖの夜の生活に差し障ったらどうする気だ？この唐変木！」
「ま、まさか……この声は？」
あまりにも聴き慣れた声に怪訝そうに周囲を見廻す二人の眼前に風の様に姿を現したのは、予想通りクラピカに瓜二つの少年だった。
「お……お前は『ニセ・クラピカ』！！」（５月２６日の『日記』参照）
「逢いたかったのだよ、私のハニーｖｖ」
ニセ･クラピカは満面の微笑を浮かべる。
「クラピカと同じ声で“ハニー”なんて呼ぶな！気持ち悪ぃな、もう……」
「今日は何しに来たのだ！私のニセモノめ！」
反射的に身構えるクラピカを尻目にニセ･クラピカは不敵に微笑むと、
「今日はお腹を空かせたハニーｖｖの為に愛情タップリの『お弁当』を作って来たのだよ♪」
「何？」
『お弁当』と云う単語に、空腹のレオリオは素早く反応する。
「さっき作ったばかりだから、まだあったかいぞ、ハニーｖｖ」
そう言い乍ら、
ニセ・クラピカは丁度二人が腰掛けられる位の大きさの切り株の上に、
若草色のランチ･マットを拡げて座り、
傍らの空いた部分を右掌でポンポンと叩いてレオリオに座る様にと促す。
「オレ腹減ってたんだよなぁ……ｖｖ」
レオリオは嬉しそうに呟くとニセ･クラピカの傍らに座った。
ニセ･クラピカがパカッとお弁当箱の蓋を開いて見せた途端、
レオリオの表情がパッと輝いた。
「おっ！美味そう〜！！」
「お弁当に必ず入っていて欲しいオカズ�癸韻里世郡�き卵、竹輪の天ぷら（青海苔風味）
エビフライ・マグロの照り焼き・ときめきのキンピラゴボウ……
デザートには病気の子供しか食べられないと云う伝説の果物メロンを用意したぞｖｖ」
（いつの時代や？（＾＾；）ちなみにメロンの元ネタは『ラック･システム』様）
しかも炊きたての白いご飯の上には永○園『ムーディ・大人のふりかけ･明太子味』で、
“ＬＯＶＥ ＬＥＯＬＩＯ”と見事にハート・マーク付きでレタリングされている。
はい、ア〜ン♪」
そう言い乍ら、ニセ･クラピカはだし巻き卵をレオリオの口に運んでやる。
「うん！美味ェ！」とレオリオは嬉しそうに咀嚼している。
「そんな片寄ったメニューではコレステロールばかりが蓄積されてしまうでは無いか！
少しは栄養バランスと云うモノを考えたらどうだ！」
クラピカは強い口調で言い放ったが、
ニセ･クラピカは鼻先でフン！と微笑うと、
「どんなにくやしがっても家事の不得手なキサマに愛情の込もった手料理は作れまい！！」
ぐっ…！とクラピカは絶句する。
「この辺にはコンビニも無いぞ……
キサマは味気無い固形携帯食フルーツ味でもしゃぶっていろ、
さ、ハニーｖｖ次はどれにする？」
「わ……私は山に篭って……師匠の元で家事修行を積んで来る！さらばだ！レオリオ！！」
そう言い捨てると、クラピカはくるっと踵を返し、山に向かって走り去って行った。
（その後のクラピカの花嫁修行風景は
『ＮＥＸＴ Episode２ ＣＵＲＡＲＰＩＫＴ』参照の事（う、嘘です、ゴメンナサイ（涙））
「お、おい！待てよ！クラピカ〜！！」
レオリオは慌てて立ち上がると、鞄を手に慌てて大急ぎでクラピカを追って行った。
「お前は身体一つで俺ん処来りゃ良いんだよ〜〜〜！！」
ぽつねん……と一人取り残されたニセ･クラピカは、
食べ残された弁当箱を見つめながら、そっと溜息を吐いた。
「せっかく……作ったのに……」
「……それ、喰って良いか？」
背後から掛けられた声に振り返ると、
何と瞳の前には先刻クラピカを追って走り去った筈のレオリオが立っていた。
「何だ？ニセ･レオリオでは無いか？」
ニセ・クラピカはあくまでも冷静に言葉を掛ける。
「なぁ…それ、喰って良いか？」
ニセ･レオリオはニセ･クラピカの両掌の中に有る『弁当箱』を指差す。
「ちょうどハラ減ってたんだよな……オレもｖ」
ニヤニヤと微笑っているニセ･レオリオの鼻先にニセ･クラピカは、
かなり乱暴に弁当箱をグイッ！と突き付けた。
だがニセ･レオリオはイヤな顔一つせず、弁当箱を受け取ると、
「おっ！美味ェじゃん！……メロンまで入って豪勢だな……」と
やたら褒めちぎっては、ガツガツガツ……と貪り食っている。
「なぁ……」
弁当を食べる手を、ふと止めて、
不機嫌そうに頬を膨らませているニセ･クラピカに、ニセ･レオリオは言葉を掛ける。
「何だ？」
「いい加減、あんなヤツ諦めて、さっさと俺のモノになっちまえよ♪
どうせおんなじ顔なんだし……」
だが、
「簡単に言うな……愛とはキサマが言う程、単純では無いのだ」
ニセ･クラピカは、
本物二人が去った方角に視線を戻すと、鋭い瞳で睨み付けながら低い声で呟いた。
「私は諦めないぞ…！ハニーｖｖ」
その背後で、
「オレも諦めねェよ……」
“エビフライ”を口に運びながら、ニセ･レオリオも小声で呟いた。
彼等の冒険は、まだまだ続く……のかな？（＾＾；）
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