Monologue

2002年05月10日(金) クラピカの『男の一人暮し』日記(代筆ななか)

(5月6日放送の『HHR』を聴いて『妄想』してしまった事。
 細かい設定とかは無視して読んで下さいまし(^^;))


10月某日

ヨークシンシティを離れてそろそろ1ヶ月……


ノストラード・ファミリーが29億の負債を抱えて解散した後、
私は次の仕事が決まるまで、アパートを借りて一人暮しを始めた。

この街に長く住む気は無いので、電化製品は買わないつもりだ。

幸いすぐ近所に『コインランドリ−』も『コンビニエンス・ストア』も有る。

私は洗濯物を袋に入れて『コインランドリ−』に向かった。




洗濯機の前で、色柄物(私はあまり派手な柄は着用しないが)と無地の物とに分け、

衣類に付いた『洗濯表示』を逐一確認しながら洗濯機に放り込んで行く……


その内の一枚を手に取り、ハッと息を呑む。


「…………これは、『クリーニング』だ」


うっかり洗濯機に入れて洗っていたら、エライ事になってしまう処だった……



無地の洗濯物と洗剤と水を洗濯機に入れて、タイマーをセットする。


“ゴドロン…ゴドロン……”

低音を響かせながら洗濯機が廻転し始める。

“ゴドロン…ゴドロン……”


出来上がりを待つ間、
『コインランドリ−』内のベンチに座り、持って来た『岩波文庫』を拡げて読み始める。

やはり夏目漱石は良い。
流麗な文章に、心まで洗われる様だ………



“ガラッ……”とガラス戸が開く音がして、誰かが入って来た。

「……クラピカじゃねぇか!!」

突然、頭上から掛けられた弾んだ声に、読んでいた本から顔を上げると、

「レオリオ!!」

1ヶ月前、

リンゴーン空港で別れたばかりの長身の男が嬉しそうに微笑って自分を見つめている。


「久し振りじゃねぇか!元気か?」

「あ、ああ……」

躊躇いがちに肯く。

「お前、この街に住んでいたのか……?」

「ああ……あれ?オレの住所教えてなかったっけ?」


……そう言えば、貰った彼のアドレスは、見もせずにしまい込んだままだった。


「お前ェもこの街に住んでたのか、知らなかったぜ」

「ああ、まだ引っ越して来たばかりだし……な」

すまない気持ちと共に瞳を伏せる。

「もしかして、俺に会いに?」

「バカ!……そんなつもりでは無いッ!!」



“ゴドロン…ゴドロン……”

低音を響かせながら廻転し続ける洗濯機。

“ゴドロン…ゴドロン……”



レオリオは両腕に洗濯物がパンパンに詰め込まれた大きな袋を抱えている。

ゆうに私の3倍の量だ。

一体どれ位の期間、溜め込んでいたのだろうか?

「ここんトコ、忙しくってよ、さすがに着るモン無くなっちまった……」


“ハハハ……”と微笑いながら、

未使用の洗濯機の一つの蓋を開けると、
そのまま袋を逆さまにして洗濯物をバサバサ放り込んで行くでは無いか!!!

「お……お前!」

私は思わず立ち上がると、レオリオの傍に駆け寄り、洗濯機内に放り込まれた
彼の衣類を引っ張り出した。


「お、おい!何すんだよ?いきなり……」


「色柄物はきちんと分類しなければダメでは無いか!色写りしたらどうする気だ?!」

茫然と立ち尽くしているレオリオの瞳の前で、
私は洗濯物を手際良く分類して行く………

シャツの1枚を手に取ってハッと息を呑む……

「こっ……これは『クリーニング』に出さなくてはダメでは無いか!!
 このまま他の衣類と一緒に洗ったりしたら大変な事になってしまうぞ!判っているのか?」

「へぇ…そうなの?」

短く刈り込まれた頭をボリボリと掻きながら、
「……いつも一緒に洗ってたけどな」等と呟いている。


全く嘆かわしい……

ククル−マウンテンでは、私が『洗濯担当』で正解だった……と改めて想起しながら、
取り敢えず、無地の衣類を洗濯機に放り込み、水と洗剤を入れてスイッチを入れる。


“ゴドロン…ゴドロン……”

「すまねぇな……」

そう言うと、私の顔を覗き込んでやたら嬉しそうに微笑う。



“ドキ…ン”と心臓がやたらと大きな音を立てて鳴る……



“ピーッ!”と甲高い音が響いて、私の分の洗濯が終了した事を知らせた。


その音で、ハッと我に返ると
蓋を開けて洗濯、脱水済の衣類を取り出して、乾燥機に移した。

残った色柄物、それに洗剤と水とを洗濯機に入れてスイッチを廻す。


“ゴドロン…ゴドロン……”

「マメだねぇ……」

「お前こそ……『洒落者』を自称するなら、洗濯位きちんとこなすべきでは無いのか?」


感心した様に呟くレオリオを尻目に、ベンチに腰を下ろして再び拡いた文庫本に瞳を落とす。

「……そうだな」

レオリオは、怒りもせず……やたら可笑しそうにククッと微笑いながら、
『コインランドリ−』内に置いてある雑誌から1冊を手にして、私の隣に座った。


「おっ!今週は載ってんな♪」

小声で呟きながら、私の隣で雑誌を読み始める。


“ゴドロン…ゴドロン……”

低音を響かせながら廻転し続ける洗濯機。

“ゴドロン…ゴドロン……”


「なぁ……」

心地良い低音が呼び掛ける。


「……何だ?」

「俺の分も一緒に洗濯してくれねぇか?」

「なっ……何故私がお前の分まで洗濯しなければならないのだッ!?」


「だってよ、お前の方がマメそうだし……その代わり、メシは俺が作るからよ♪」


「え……?」


読んでいた本から顔を上げると、レオリオがじっと私の顔を見つめていた。

やたらと嬉しそうに微笑って……


「二人で一緒に暮らした方が、家賃半分で済むじゃねぇか……?」



“ゴドロン…ゴドロン……”


洗濯機は廻転し続ける


“ゴドロン…ゴドロン……”


低音を響かせながら、いつまでも……


“ゴドロン…ゴドロン……”




(こんなんばっか書いててスミマセン;;)


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