Monologue

2002年03月24日(日) 後日談

「おーっ!!バッチリ!!
 良〜く撮れてんじゃねぇか!!うっしっし・・・(^^)」


『修学旅行』の翌々日……


校舎の屋上、
晴れ渡った青空の下で、レオリオは、
キルアとゴンから受け取ったクラピカの写真を眺めながら、ドスケベ顔で・・・(バキッ!)
満足げに微笑む。


「サンキューな、キミ達♪」


「感謝しろよな、オッサン」

「そうだよ……クラピカ先生にバレない様に写真撮るのすっごい大変だったんだからね!
一人でお風呂入ってるトコとか……」

ゴンの言葉にキルアも肯きながら、


「さっさとくれよな!『約束』のモン……」

「サンキュ♪サンキュ♪判ってるって……」

と、差し出されたキルアの手に1,000ジェニー札を2枚渡す。


「ほらよ……ゴンと山分け、な!」

“わーい!”と歓声を上げたゴンとは対照的に、

「ちょっと待てよ!あんだけの仕事させといてギャラ少ねぇじゃねぇかよ!おっさん!
 てめぇ!1年、舐めんなよ!」

キルアは、か・な・り不満そうに毒付く。

(実際に写真を撮ったのは、ほとんどゴンなのだが……)

「それに!

 オッサンらが点呼に遅れて来て、フェイタンに拷問されそうになった時も、

俺らが気ぃ利かせて写真見せたから助かったんじゃねぇか!」


“ちぇっ!と、レオリオは舌打ちすると、

「しょーがねェな……」

ブツブツ呟きながら、ズボンのポケットから財布を抜き出し、紙幣を取り出す。


「ほらよ……」

「サンキュー!オッサン♪」

キルアがすかさずサッと奪い取る。

「あ!ズルイよ、キルア……山分けだって約束したじゃん!」

「いーじゃねぇかよ!

 おめぇは今時『おやつ』代、300ジェニーで済ませられるヤツなんだから、

別に金なんか必要ねぇじゃん!俺が貰っとくぜ〜♪」

「そんなのズルイよ!」

・・・・・・と、

キルアとゴンは掴み合いのケンカを始めたが、


「この写真は俺の大事な『オカズ』♪ ムッフッフッフ……」

幸福に酔いしれているこの男には無関係の様だ。



“キーンコーン……カーンコーン………”

始業チャイムの音で、二人は『るるぶ』(違)……では無く、ケンカを一時中断する。


「じゃ俺達、これから授業だから……」

「またな!オッサン!!」

「おぅ!ありがとな!」



立ち去る二人に向かって手を振った後、

レオリオは掌の中の数枚の写真を見つめる……


点呼を取っているクラピカ先生

観光名所を見るクラピカ先生・・

考え事をしているクラピカ先生・・・

うたた寝しているクラピカ先生・・・・

食事を摂っているクラピカ先生・・・・・

お風呂に入ってるクラピカ先生・・・・・・

『卓球』をしているクラピカ先生・・・・・・・・・


そして・・・・・・・・




『修学旅行』から帰って来た日の夕方、


『ヨークシン駅』での全員解散直前……


“クラピカ先生!”

名前を呼ばれて、足を止め振り返った彼の左肩を、左手で強引に引き寄せる。


“ゴン!今だ!今撮れ!”

ゴンが、慌てて向けたカメラのフレーム内に、レオリオは右手で“Vサイン”を作り、
見事笑顔で収まる。


傍らのクラピカは両瞳を大きく見開いたまま、
『こちら』側のレオリオを不思議そうな顔で、キョトンと見つめ返している・・・・・・



それは、

隠し撮りでは無い。


たった一枚の

『ふたり』だけの記念写真……


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