無題 - 2007年08月13日(月) 玄関から出て行く後姿。 朝焼けの光がちょうど真っ直ぐに差し込んで、 輪郭が溶けるようにぼやけている。 めずらしくも大きく欠伸なんかしているその背に駆け寄ると、 ローブのポケットに、 昨日買ったばかりの缶入りドロップをするりと忍び込ませた。 「ん?」 袖にしがみつく格好になった彼女を、 薄い色の瞳が静かに見下ろす。 顔を縁取る銀髪が陽光に透けるように輝いていて、 まぶしさを堪えて見つめるために、彼女は思いっきり微笑んだ。 「朝に甘いものは、いいんだって。取り過ぎるとダメだけど」 ポケットを外から引っ張って揺すると、 缶に入った飴たちがにぎやかに音を返してくれる。 「……そうなのか。アリスの分は?」 「アリスのは別にあるよ。これはお兄ちゃんのなの」 また、そうかと頷いた兄に、アリスも笑顔で頷き返す。 「今日は遅くなる?」 「……多分。注文してた薬草がそろそろ届くから、 エリクサ作りが始まったら帰れないかもしれない」 「んー、じゃあアリス、帰るときに工房に寄るね。 泊り込みになるならセンセの分も、お夕飯とお夜食作るよ」 「ああ、頼む」 はーいと手をぴしりと挙げて返事をすると、 兄の口元に淡い微笑が乗った。 だから嬉しくなって、アリスの笑顔もついつい全開になってしまう。 行って来る、と微笑みながら片手を挙げた兄の背が門を出て、 その淡いグレイのローブが見えなくなってしまうまで、 アリスもぶんぶんと手を振って見送った。 まぶしい朝の陽射しの中、小鳥が気持ち良さそうに囀っている。 その歌声に目を細めながら、 アリスは踵を重心にくるりと背を向けて家の中へと戻ってゆく。 今日は遅番だけれど、 少し早めに行ってお歌のお稽古をしよう。 今度のお休みには冒険の予定が入っているから、 それまでに今度呼ばれている舞台の合唱曲をきちんと覚えてしまうのだ。 目覚め始めた朝の気配の中、 家の中に駆け込んでゆく少女の肩に流された金髪が 舞うように踊っては煌いていた。 ***** ………………新婚? 自分でちょっと突っ込んでみました。 兄妹の日常風景……のはず。 微妙に糖度が感じられるのは、アリス視点のせいなのと、 クルスお兄ちゃんがめずらしくも眠気から醒めてない模様で ちょっとぼんやりになっているせいでしょう。 お盆なのになんでこんなの書いてるのかなぁと思いましたが、 たまたま気が向いたのです。 もっとばばーんと濃い文章が書けるようになりたい……。 薄味どころじゃなく風味が無い……お出汁きちんと取ろう。 ...
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