白木蓮の咲く庭で...久純ゆきの

 

 

あやめのゆかり - 2007年03月14日(水)

季節感無視したトップです。
あやめ。
というのも、今回の短文が、七緒の回想だからなのです。

本当は、季節に合わせて菜の花使おうと思っていたのですが、
文章の中身と合わないことこの上なかったので取りやめ。
桜の前にまた変えることがあったら、菜の花で行きます。
(思いついた短文と合えば)


あやめは、七緒の若い頃のゆかり。
ちょっと書いた、長を辞める前後の思い出に連なる花です。

七緒たちの里がある森の麓、
人間の住んでいる村がありました。
妖孤の里の近くですから、
おキツネ様にまつわるお話も多々残る地域で、
村のはずれには小さなお稲荷様の祠がありました。
(お社にするかもしれないかも)

そこにいつも、お手製のおいなりさんをお供えに来る娘さんが居ました。
名前はあやめ。
そんなに裕福な村でもありませんから、
中身が透けて見えそうな薄い御揚げに
雑穀混じりのご飯が詰まっている
そんな素朴な代物でしたが、
ごくたまに里の外に出る用事があった時は、
七緒はこっそり美味しく頂戴してたりしてたわけなのでした。

そんなある日のこと。
お疲れ気味でちょっと抜けてた七緒は、
あやめに手違いで姿を見られてしまいます。
お供え泥棒と間違われ問い詰められてしまったので、
仕方なくキツネの正体を明かし、
それからはちょくちょくあやめに会いに来るようになったのでした。

最初は気紛れに、
里の子供と遊ぶような気分であやめを構っていた七緒ですが、
その頃、長たるもの、ふらふらせずにいい加減身を固めろとか
そんな話が七緒の身の上に降ってきました。

七緒自身にはまだまだそんな気は無かったのですが、
本人を置き去りに里の人々の方が相当乗り気。
大人たちはだれそれが良いだの、長の好みはどうなのかだのと
口を開けばそんなことばかり。
年頃の娘さんたちは皆揃って判を押したように
艶めいたものをその視線に混ぜてくる始末。

特にその中で勢い込んでいた、或るキツネの娘さんがいました。
よくある話、彼女は七緒に対してどうの……ではなく、
「長の妻」という立場に魅力を感じていたのでした。
親兄弟を使い、あらゆる手を使い、
ひっそりとライバルを蹴散らしていった彼女は
嫁候補第一と目されるようになります。

そんな雰囲気を嫌った七緒は、
疾うの昔に里に寄り付かなくなり……。
必然的に村の周囲に出没することが多くなり、
素朴で朗らかなあやめに、やがて惹かれるようになっていたのでした。


一方で。
或る程度の立場を確保したキツネの娘さんは、
七緒を口説き落とそうとしつつも
そのタイミングが得られず、
ついに里の外へと足を向けたのでした。

元より気紛れな七緒が見つかるとは思って居なかったのですが、
そこで彼女は、
自分に落ちるべき相手である七緒が、
「何の益体も無いちっぽけな人間の小娘」を
いとおしげに構っている場面を目撃してしまいます。

野の花の中、
自分には見せたことも無いような甘い笑顔の七緒と
幸せそうに微笑んでいる人間の娘。
そこに付け入る隙が無いことくらい、
敏感に感じる取るのが女の直感。
当然、キツネの娘さんは激怒します。

そして、七緒とあやめを引き離すべく密やかに動き始めたのでした。


しばらくの後。

七緒は、里で起こった揉め事の解決のために戻らざるをえなくなりました。
それはあまりにも厄介な出来事で、
しばらくの間は村に顔を出すことが出来そうもありません。
解決したら、必ず戻るから。
その頃には想いを交し合っていたあやめに、
七緒はそう約束して里へ戻ります。

一方で、村に残されたあやめの方にも
七緒が姿を消してから急に縁談が舞い込みました。
あやめは何とか断ろうとするのですが、
お相手は隣の村の庄屋筋。
頷かない本人の意向を無視して、トントン拍子に話は進んでいくのでした。

勿論、どちらも、激怒したキツネの娘さんの画策でした。
彼女にとっては里に波風を立たせるくらい訳無いことでしたし、
人間には「おキツネ様のお告げ」を装って
適当に或ること無いこと吹き込めば済むことでした。



……と、ここから先がまだ迷ってるんですが。
人間の村の方ではその後、
あやめに嫌疑が掛かるような感じになっていきます。
んー、結婚を嫌がって逃げ出したとかが説得力あるのかな……。

そして命にかかわるくらいの怪我を負います。

そこへ、虫の知らせ的な直感で
里を抜け出してきた七緒が飛び込んできます。

この先もちょっと迷ってる。

この場で命の灯が消えかかってるあやめと短く会話があったのか、
知り合いの陰陽師なりのところへ運び込んで、
手を尽くすもはかなくなってしまうのか。


とまれ、ここであやめと七緒は永遠のお別れです。

あやめを埋葬した後、
里に戻った七緒は全てを理解します。
そして、全てのことを明るみにした上で
今回の一連の事を引き起こしたキツネの娘さんを放逐。
……か、力の全てを剥奪とかでもいいかな。

引鉄になった、己の後継者問題にケリをつけるべく、
妹の息子……既に妻子も持っていた甥っ子の早月(さつき)を
次の長に指名し、
己は長の血統の証である月にまつわる光の力を封印して、
長の座を降りたのでした。

そして自身も半ば追放のようなかたちで、
里を離れて旅をする……そんな生活に身を置くようになったのです。


……というような七緒の過去です。
何か長くなったな……。

こんなこと考えてる暇があったら
もっと別に考えるべきことがあるわけなのですが、
ほとんど全部、
セッション当日と翌日で出来上がったものだったりします。

それだけ、セッション中に七緒がくっきりと
形作られたってことなのですね。


筆力が足りれば物語に起こしてみたいところですが、
今の私ではこうやって箇条書きにしておくのが精一杯かな。


  もう一度触れたいのは 
  あたたかかった あの指先


ああ、いけないいけない。
私がせつなくなって来ちゃった……。

とりあえず今日は、この辺で。


...



 

 

 

 

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