白木蓮の咲く庭で...久純ゆきの

 

 

『そんな日常』 - 2005年03月04日(金)

「ねーねー真君、ちょっといい?」
「はい? 少々待ってくださいね。ああ、いいから座ってなさい」
「はーい、お邪魔します。よいしょっと。……手紙?」
「ええ、桂花が獅柏様のところから寄越したの、読んであげたでしょう?」
「あの返事書いてるの? あ、じゃあ俺も書く。えーっと……」
「じゃあ、硯はこれを一緒に使いましょうか。筆は適当に棚から選んでおいでなさい」
「よっしゃーっ! んー、この赤い柄のヤツ、いい?」
「ええ、構いません。そういえばそれ、前に邑の人に揃いで貰ったのでしたっけ」
「うん、すごい使いやすいの。紙紙、真君、紙は?」
「その下の引き出しに手紙用の薄様やら何やらまとめてありますから、好きなものを」
「んー、じゃあこれにする」
「…………………」
「何、これ、使っちゃ駄目なやつ?」
「いえ。桜色の斑染めなんて、あなたにしてはめずらしい選択だなと」
「桂花っぽい感じで選んだの!」
「ふむふむ、蒼天にとって桂花は桜色の斑染め、と……」
「何メモってんの! じゃあ真君だったらどれなのさ」
「これ」
「即答かよ……って?」
「今書いてるこれです」
「……選択基準は一緒なのか。えーっと、鳥の子紙?」
「卵色みたいな柔らかな風合いの黄色が、あの子の印象ですね」
「それに小花模様の雲母刷りって……」
「可愛いじゃないですか」
「……ベタベタ?」
「何か言いましたか?」
「いーえっ、何にもっ」
「あなたも十分ベタベタですから、とっとと座ってしゃきしゃき書くように」
「……聞こえてたんじゃねぇかよ」
「聞こえてないとは一言も言ってませんよ」
「へーい」
「返事は『はい』」
「はいはい」
「一度でよろしい」
「はーい」
「伸ばさない」
「合点でい、おやびん」
「はぁ……そういうノリ、どこで覚えてくるんでしょうね」
「見えないところで、子供は毎日成長してるの」
「実年齢、とっくに二十歳越えてる人間が何言ってますか」
「ちなみに真君って幾つ?」
「女性に年を聞くものじゃありま…………っ!」
「……いでっ。殴らなくてもいいじゃんっ」
「君はどこ触ってんですかどこをっ!」
「えー……むぐぐ」
「口にしなくてよろしい、下品な」
「言うなって、聞いたのは真君じゃん。それに、女性とか言うから確認しただけ」
「言葉の綾って知りませんか?」
「いや、真君なら事実って言われても納得する」
「しないでください」
「その場合ってやっぱり、真君じゃなくて女仙? 公主?」
「聞かないでください」
「娘々とか大母はちょっと印象違うよね」
「いつまで人の顔まじまじ見つめてんですか」
「やっぱ女仙かなぁ。……いてェ。暴力反対」
「愛の鞭ってやつです。ああ、いっそのこと桂花に、お土産に貰ってきてもらいましょうか」
「鞭持った真君だと、やっぱり公……い゛っ。今本気で殴っただろ!? あ゛あ゛あ゛……」
「余計な事言うのはこの口ですかこの口ですかこの口ですか〜〜〜〜」
「ほーりょふはんらい。いらい」
「もう言わないって言いなさい。あと、考えないように」
「れひまへん」
「ほう……出来ませんか、蒼天」
「しんふん、そのへあお、ほわいひょ?」
「何言ってんだか分かりませんね」
「ひぁああああああ、いーらーいーーーーーーっ」
「はい、お仕置き終わり。ったく、もう。誰に似たんですかね、その減らず口」
「誰って真君。うー、頬がひりひりする」
「……まだ言いますか、あなたは」
「あーあーあーあー、もう止めて今日は止めて、顔が広がったまま戻んなくなるからっ!」
「根性無しですね。顔面修復機能くらい付けときなさい」
「だって真君、ばかぢから」
「大袈裟な。大して力なんか入れてませんよ」
「んなこと言ったって、真君、俺らぺーぺーの道士とは根本的なとこが違うっつの」
「そうですかねぇ」
「そうなの!」
「…………………」
「…………………」
「……とりあえず、手紙書きましょうか」
「うん……」
「何か疲れましたね」
「うん……」
「大騒ぎするからですよ」
「真君だって似たようなものでしょ」
「そうですか?」
「そうだよ」
「……じゃあ、お疲れの人に今日の食事の支度させるのもなんですし」
「ん?」
「手紙届けに行ったついでに、どこか大きな邑の食事処で夕飯にしましょうか」
「え、ホント!?」
「ええ、たまにはいいでしょう」
「おっしゃーっ、新しい味付け覚えるっ! レパートリーも増やすぜっ」
「はいはい、楽しみにしてますね。じゃあ早速手紙書きましょう」
「よっし、ばんばん書くぜーっ!」
「ああっ、そこ、袖! 硯引っ掛けるっ!!」
「う? うわぁぁぁぁっ」


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綾花苑師弟の日常(笑)

「ばかっぷる、ばかっぷる、ばかっぷるっぽく」

と唱えながら書きました。
ベタベタなのは君たちです、と言ってやりたいです。
(自分で書いたんだろう)

二番弟子の凛くんは
大師匠(師匠の師匠ですし)である友林師匠のところで、
至夜さんと一緒に、使役獣を貰う為の9年間の修行中。
(勿論と言うべきか9年くらい一緒しておいでという木蓮の配慮)

三番弟子の桂花ちゃんは、
文中に出て来る通り、友林師匠と同じくらいとな師匠陣の
涼獅柏師匠のところに修行に出ている、という設定です。
団体行動の練習でしょうかね(笑)

ちなみに「合点でい、おやびん」のノリは、
多分、緑成師匠のところで覚えてきたのではないでしょうか。
武術の修行で朱貢ちゃんと手合わせをしに、よく出向いてるので。

……蒼天って絶対、風水・卜占じゃないよなぁ、性格が。

ともあれ、ばかっぷるの日常でした。


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