白木蓮の咲く庭で...久純ゆきの

 

 

むだい - 2004年08月11日(水)

窓も扉も全部閉めきって。

カーテンは、優雅に影を描くレースの一枚。

強い午後の日差しを頼りなく遮っている。

容赦なく進入してくる日の光を迎え入れていても、
リビングの空気はすっかり冷え切っていて。

壁に掛かったクーラーのリモコンに目をやれば……うわ。18度だって。

寒くないのかと、3人掛けのソファを見ると、
一人でその空間を占領したお姫様は、
ソファのカバーを剥がしてちゃんと包まっている。

……多分寒いんだろう。

床の上、仲良く並んだペットボトルがふたつ、
汗をかいて水たまりを作っている。
紅茶と緑茶。

「温度上げるよ」

返事は最初から期待していない。

代わりにピピっと素直に答えてくれるクーラー。

ふっ、可愛い奴だ。

さてさて。

目に見えない天岩戸に閉じこもったうちのお姫様のご機嫌は
どんな風に取ったらいいものか。

たとえばアメノウズメを気取って踊ってみる。

……笑うどころか、こっち向いてももらえないだろうな。

いや。あの話で大笑いするのは、サクラの観客だったっけか。

どっちにしろ良い考えとはいえないので、早々にアイディアを放棄する。

結局思いついたのは、ごくごくありきたりな質問だった。

「晩飯何がいい?」

そっと近づいて、上から覗き込んでみる。

めいっぱい頬を膨らませて、クッションを抱き込んで、こっちを見ようともしない。

いつものことだけど。

とりあえず、クッションを投げつけてはこなかったので、そのままソファの端に座る。

……そんな、避けるように足引っ込めなくてもいいじゃん?

ちょっと傷ついてみながら、場所を空けてくれたんだと思うことにする。

良い方向に考えること重要。

特にうちのお姫様相手の場合。

床からびしょびしょになった緑茶を取り上げて封を切る。

一口。

穏やかになったクーラーの音を聞きながら、もう一口。

「……まめ……」

「はい?」

「お豆が食べたい」

「……豆って、どんな豆よ?」

いつもにも増して扱いに困るリクエストに、眉をひそめる。

「茶色のお豆」

「……?」

「大豆で、にんじんとごぼうとれんこんと、こんにゃくとこんぶ、煮たの」

「ああ、煮豆か。他には?」

茶色の豆ってどういう感性してるんだコイツ。

ちょっと笑いたくなったのは、悟られないようにしておかねば。

話し出したということは、機嫌の傾斜が30度くらいに戻ってきてるのだから。

「ちょこれーと」

「は?」

「ちょこれーと。混ざり物のないちょこが食べたい」

「……晩飯に?」

聞いたら、案の定クッションが飛んできた。

ペットボトルのお茶をこぼさないようにしながら片手で受け止める。

「要る?」と差し出したら、ぴっと手が伸びてきた。

うやうやしく、お姫様の手のひらに乗せて差し上げる。

「とりあえず……」

立ち上がって、テーブルの上にペットボトルをふたつとも移動させる。

床の水たまりは、そこらにあったハンドタオルで手早く拭いてしまう。

ようやくこっちを向いたお姫様に向かって。

ここが勝負どころ。

気合入れて、とっておきの笑顔。




一緒に買い物、いかない?



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ふはー。

こういう文だったら割と軽く出来てしまうんだけどな。

文章になってないから当然か。


ペットボトルのドリンクだったら、
日田天領水がダントツにお気に入りなんですけど、
大分前から近場のコンビニからなくなっちゃったんですよね。
日田天領水のお茶は入ったんですけど。
やっぱりお水の方がいいな〜。


...



 

 

 

 

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