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静かな食べ歩き
2004年06月09日(水)

昨日は、たまたま昼ご飯を食べたカフェのBGMになっていた
音楽のビートがききすぎていて、
休むつもりが若干疲れて出てきてしまった。
聴覚が敏感なので、疲れていると音に反応しやすくなるらしく、
「耳障り」の範疇が広がって、激しめな音楽を聴くと
疲れを感じてしまうらしい。参ったもんだ。

というわけで、今日は食事場所をじっくり選んだ。
店内にクラシックが流れているレトロ風味の喫茶店。
年配の方が静かに談笑しているような落ち着いた店だ。
本店は銀座あたりにあるようだが、私は台東区の支店に入ったので、
客層も「マダムというよりは、おばちゃん」な感じだった。
いやいや、なんというか親しみやすい感じがする方ばかりだった。
お腹が減っていて朝だったので、モーニングセットを頼む。
モーニングセットなだけに、
上品なサンドイッチにコーヒーが付いてくる。
いかにも、という喫茶店のお食事メニュー。
これぞ定番な味がした。懐かしいタイプのおいしさ。
外で軽く食事したい時はたいてい冒険したい気分だったりするが、
疲れていたり眠かったりする日はそうも言っていられない。
「冒険したくない」時、こういう店があると安心だなあとつくづく思う。
濃いコーヒーと共に、フツウの喫茶店の意義をゆっくり噛みしめる。

で、問題はそのモーニングセットを食べたあとに発生した。
この店は喫茶店だが、メインは「ケーキ」なのだ。
ショーケースにあるケーキ、どれもおいしそう。
これは……ケーキが食べたくなるじゃないか、やはり(←※問題発生中)。
若い頃によく「アルプス」というケーキ屋さんで、
「スワン」という(シュークリームの皮の部分が
白鳥のような形にくるくるっと立体的にカットしてある)
ケーキを好んで食べたものだったけど、
(そして何故かその店のコーヒーシュガーをよく食べてたけど)
そこのケーキとラインナップ……はよく覚えていないが、
テンションが似てる。レトロで、適度に庶民的なムードなのだ。
値段が微妙に安いし、
サンドイッチは量が少なめで(だってモーニングセットだから……?)、
デザートを食べてもいいかなあという気分でもあった。
どうしようかなあ食べようかなあ、
と、散々悩んだ(どうでもいいタイプの悩みだな、とは思いつつも)。
モーニングセットを完食してから、五分間は悩んだろうか。
店員さんが時々「あの客、完食したよね?したよね?」と
お皿を下げるタイミングを見計らい出したら、すかさず
携帯メールをチェックするふりをしてみたりして、
なんか余計な演技をしている自分がいる。
必要ないことにエネルギーを遣うのもまたをかし、だがしかし無駄は無駄。

結局、ケーキを諦めて帰ることにした。
「モーニング、そしてケーキ」を注文する客というのもどうかと思うし、
それにさっきの「携帯メールチェックの演技」が演技だとばれていたら
「あっ、あの人それで悩んでたんだね」なんて店員に見透かされてしまって、
「ライトなほのぼのエピソード」としてその人の持ちネタに
なってしまうではないか。これは不本意!
ネタにされようと思ってネタにされるんならまだしも、
こういう偶然のハプニングがネタにされるっていうのは、ちょっと
私の芸人魂に反することだ。
しかもジャンルは「ほのぼの」系だろ。
どうせなら爆笑取りたかったよ。そういう意欲も、実はあるのさ。
そもそも私は芸人じゃなかっただろ、っていう問題もあるにせよ。

そんな回りくどい理由でケーキを諦めたのちに財布を確認したら、
そういえばお金もあんまり持ってなかったのでした。ちょうどいい。
ともあれ、今度機会があったらまた「アルプス」でも行ってみよう。

明日はどこでご飯を食べよう。明後日は?明々後日は?
…………うーん、就食活動。