体が重い。疲れが変な風にやってきている。 喉が痛いため耳鼻科へ。 あれま、空いている。と思いきや…… 空は鉛色、風はやや冷たく。 人々、傘を持ちて駅前通早足にて過ぎ去る。 と、古典なんだか舌足らずなんだかわからない文体で 観察したうえで、あらためて気が付いた。 これは……これぞ! そう、今日はもうすぐ雷雨がある。と天気予報の人が言っていた。 (しかし最近、駅員は「駅の人」、銀行員は「銀行の人」など、 職業を示す場合に「○○の人」と表現しがちである。歳のせいか。) 薬局の人に「大丈夫?家遠くない?」と心配されつつ、 ものすごい稲妻の中をダッシュで帰った。 大人が堂々とダッシュするのを許されるのってこういう事態なのだな、 なんて思いながら、時折ストロボのような空のもと走る。 ダッシュする、という言葉は好きなんだが(ファミコンにおける Bダッシュという言葉などを連想するからだろう)、 走るのは苦手である。要はニュアンスの問題だ。 そんなわけで、最初は「ダッシュしている」感じだったのが どんどん「走っている」感じになってきて、 つまりは疲れたんである。 でも、とうとう雨が少しずつ降り出してきて、 傘を差そうにも風が強く、 しかも金属を手に持つのは危険なんじゃないか、 「はやさん雷にうたれる」という事件がyahooのトップを飾ってしまう、 という照れ混じりの恐怖もあって、 このまま立ち止まると濡れるのは必至である。 などとそこまで理屈を重視しておいた上で、それでいて野生の勘を頼りに、 とりあえず家まで走ったのである。 疾走ときどきダッシュして。 家に駆け込むと同時に、大きな雨の雲がザザーッと押し寄せた。 ああ、なんてドラマチック。(※ドラマチックの定義にも検討の余地がある) 快速電車に間に合った時に感じるタイプの幸福感。 雷はマイナスイオンをたくさん発生しているのだという。 ……全身にマイナスイオンを浴びてしまった。 こりゃー健康だ!!まいったな。 「わーい、リラックスリラックス」と帰るなりのたまう。 家族は停電に備えて懐中電灯を手に持ち、 犬たちは怯えてぶるぶる震えていたが。 雷雨でリラックスする人間ここにあり。 何事も前向きにとらえたいものだ。 雨降って地固まり、雷鳴あってマイナスイオン溢るる。 ことわざにカタカナを導入しよう。 梅にうぐいす、コーヒーにスジャータ。ないしクリープ。マリーム。 ……でもやっぱり、疲れもあって今日は充電の一日であった。 マイナスイオンで癒されつつも、 ダッシュしたので相殺されたんだろうか。 |