今日は6時に起きた。長い一日だった。 慣れないハイヒールを履いて行動したからだろうか。 とある会社に行ってみたのだが その結果、「……どうも、これは違う。」と思った。 話題は「趣味活動は」とか「サークルは」とか、 そんなようなことばかり。 みんな周りの人は、「リーダーシップを取る上で」とか、 「自発的にこんなことをしてみた」とかをぺらぺら答える。 同じ質問に、私は「サークルは入ってません」。 趣味は、現在は無い。音楽は受験でやめたし、 学校で勉強していることも限りなく趣味に近い。 「仲間とグループ作業をする時に、あなたはいつも どういうポジションですか?」とかいう質問をされた。 人間の中に混じったときに、どんな役割をするのか?と。 普通、そんなけったいな質問にすらすら答えられるものだろうか。 「このメンバーだと俺のポジションは…」とか、本気で気にするのは バラエティタレントくらいだと思っていた。 ちょっと考え、私は「横からアイディアを出したり、します」と いうようなことを確か言ったと思う。 リーダーなんて間違ってもあり得ない。 昔から誰も私にリーダーシップを望まないし、 それでいいのだと思っている。 私がリーダーだなんて、日本の首都が急に種子島に 移るくらいの驚きだ(かなりの引越しが必要)。 だけど多分、私の答えは『不正解』なのだろうと思う。 長い時間考え込んだ時点で多分不正解。 ……真面目に答えたいから、嘘を付きたくないから考えたのだが。 周りはみんな、びっくりするほどはきはき答えている。 人間関係でどんな衝突があって、それをどう解決したか。 そんな具体的なエピソードの一つや二つなくてはならないらしい。 私は中学を卒業してから数年間、 誰かと本気で衝突した覚えがない(一方的に誰かに 嫌われたことはあるのかもしれんが、少なくとも気付かなかったし 私は別に誰のことも嫌いではない)。 穏やかさを手に入れられて、とても幸福に思っている。 みんなで仲良く暮らしました、おしまい。 マニュアルでいうと、大学生活はそれではいけないらしい。 大学生はみな旅行が好きで、サークルに入っていて、 自発的に活動を起こし、人間関係にてこずったのち解決し、 やる気があり、スポーツをし、恋愛をし、 専門分野も頑張り、多趣味で、若々しい。……のだろうか? なんだかその企業が求める若者像というのが見えてしまった気がした。 中学の時「もう疲れた。あとは田舎(笑)でゆっくり暮らす」と 友達に言い残して東京を去り、その後軽い病気をじわじわと 患いつつ、地味な校風の大学に受かり、 好きなことをしながら穏やかに余生を送っている。 犬の散歩が日課。欲しい物は「生活費と健康」で 口癖は「あらまぁっ!」。 放っておくと健康の秘訣を語り出しかねない。 ……そんな二十代前半は(彼らにとって)NGだろう。 椅子から立ち上がるとき「どっこいしょっ」もNGだろう。 面接で人を見ることの切なさを感じた。 受験もそうだが、人が人を測ることは難しいと思う。 その企業が私を気に入らないというのは 相性や考え方が合わなかっただけのことだから構わない。 ただあまりにも一般的な「理想の大学生」像が 出来上がってしまっているな、という感があり、悲しみを覚えた。 遺憾(私訳:私のせいじゃないけど残念なことね)という単語が似合う。 個性の時代と言いながらも、その頂点に君臨するのは実は、 企業が想像する「ありがちな」安っぽい個性なのかもしれない。 実際の大学生は、恐らくもっとぶっとんでいるのだ。 個性とは往々にして、先人の想像を絶する。 想像を絶する個性のパワーを正当に評価できる勇敢な人間は あまりいない。(だからこそ個性なんだろう) 新しい価値観の存在を認めると、それまで築いたものが無になるからだ。 だから本当に新しい物は受け入れられにくい。 ……もっとも、結局「普通の人」の需要が一番高いのだろうけど。 みんなが誇張したり、演出したりするのを見ると、 TVのバラエティの「やらせ」を思い出す。 番組はショーだから演出や段取りを重んじるのは納得できるが、 面接や自己PRはショーでいいのだろうか。 もっとまっさらな場にしておくべきではないか。 たとえばコンビニにおやつを買いに行って、 その後ペットボトルのお茶を飲みながら日向でくつろぐ時の顔、 そういう日常の破片のような「ありのまま」でもいいのだろう。 「作品」で勝負する仕事を選んだだけ正解だった。 判断基準がわかりにくいと思っていたけれど、 ある意味でフェアだったんだ、と気付く。 自分がそこにいる意味を手っ取り早く示せる手段を、 そういえば私も持っていた。うちはそういう学校なのだ。 今日の一番の収穫はその発見だった。 やはり絵を描かない人生は、私の人生ではない。 ……ということで、一般職のエントリー(済)。 どうしようっかな。取り消すってできんよな。受けてみるかな。 |