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必死な歌
2002年04月07日(日)

非常に浮かれている。
というのも、昨日郵送されてきた成績のせいだ。
迫っている記事の〆切も忘れるほど。

思い出すのは去年の今頃。
一年間、毎回6時に起きて出席していた数学の単位を見事に落とし、
「あんなに頑張ったのに全て水の泡」とばかりに凹んでいた。
まさしく失恋の気分だ。とぼやくと、うちの母は爆笑。
「うまいっ」と言いながら大爆笑した。(彼女の笑いのツボは独特だ。)

――そんな出来事から一年。
この日記を読み返してもわかるが、常に統計学のことを
気にしていた一年だった。切ないほど強く。
心の傷が、やっと癒えた気がする。
失恋を癒すのは新しい恋ってか。

……と考えると、世の中歌といえばラブソングが多いが、
中にはこういう学問の切なさを切々と歌った歌があっても
いいのではないか、と思う(誰が作るんだか知らないが)。
単位の取れない切なさ、受験の時のあやふやな気持ち。
学問系ソング、というジャンルがあってもおかしくない。
そのくらい、本来学問は若者にとって切実な問題の一つであるべきで、
『本気でブルーになったりするもの』であっておかしくないのだ。
なのに、流行はみなラブソング。
あるいは、友情とか人生とか、そういう抽象的な感じの歌だ。
もっと現実的な歌が流行らないだろうか。九九を覚えるとか以外に。
みんなの悩みは、恋だけかい?
そうじゃないだろ、ベイビー(誰?)。
もっとあるだろ、隣の犬がうるさくて眠れないけど
直談判しに行くのが怖いとか。(バラエティー生活笑百科)
そんな泥臭さを、逆に勇気を持って表現する者はいないのか。

そういった意味では、ウルフルズの「借金大王」はすごい。
サビからして違う。

 「♪貸した金かえせよ
   貸した金かえせよ
   貸した金 はした金じゃねえぞ」

最後の1行も大好きである。

 「さっさとしねえと金も友達も消えてなくなるぞ」

……これはいい。これぞ現実。切実だ。
こういう必死さが、今のJ-POPには足りないのだ!

日本古来の歌でいうなら、小野小町や在原業平の閑そうな恋歌より、
万葉集に収められているような、詠み人知らずの生活苦の歌の方が
よほど心に染み、味わい深いように思える。
一生懸命が一番じゃねえか。(相田みつを風)