蜜白玉のひとりごと
もくじかこみらい


2015年02月11日(水) 早春雑感

2月4日に乱暴に宣言された春については信じる気も起きないほど、空は延々と暗く、乾いた風は痛いほど冷たい。東京で氷点下の朝なんてめったにない。連日強く吹きつける北風もいったいどうしたというのだ。これまで冬の最も寒い時期は大晦日の周辺だと思っていたけれど、どうやら今回は違う。底を蹴って浮上する直前の今が、何よりいちばん寒い。凝り固まった肩、背中に続いて、ついに腕まで痛くなった。左腕が肩より上にいかない。温めたり、ストレッチをしてみたり、低周波をあててみたり、あれこれ試みるも、圧倒的な寒さに先を越されてしまっては、何をやっても追いつかない。

もう、寒いの飽きたな。

ふてくされていつもの道を歩けば、寒空を突き刺すだけだった枝先が、何やらにぎやかにさざめいている。冬から春への道もまた美しいとわかる。花屋さんの軒先には所せましと球根植物のスイセン、チューリップ、ヒヤシンス、ムスカリ、クロッカスが並ぶ。中でもクロッカスのかわいらしさといったらない。頼りなげな小さな球根を庭にばらまくように植えていた頃が思い出される。球根を植えるのはだいたい10月くらいなのに、庭を失ってからはそのことを忘れてしまって、年が明けて店先で小さな鉢植えを見かけては、芽が出る瞬間を見たかったとひっそり嘆く。

こうなると眠っていたベランダー魂がむくむくと動きだす。ガーデナーではなくて、ベランダー。都会のマンションの小さなベランダで、コンクリートの照り返しにも、エアコン室外機の熱風にも負けず、鉢植えを買ってきては育てる(あるいは枯らす)人のことをいう。私もその端くれである。

我が家のベランダのクリスマスローズはまだ咲かない。ムスカリもまだだ。ミニバラはカリカリに乾いたまま固まっている。春の開花を考えれば切り戻したいところだけれど、今はこれしか花がないので、名残り惜しくてそのままにしている。


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