Deckard's Movie Diary
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2004年06月16日(水)  少女ヘジャル

アカデミー賞外国映画賞トルコ代表作品『少女ヘジャル』。イスタンブールで功なり名を遂げ、今は悠々自適な生活を送っている孤高の老人ルファトと、家族を失ったクルド人少女ヘジャルとの交流を描いた映画です。観ている最中からこの映画には何処か懐かしい匂いが漂っていたのですが、それはデ・シーカに代表されるイタリア・ネオリアリズムの趣でした。音楽の多用や、中盤テンポが緩慢になるのは難点ですが、多くの人に観て欲しい傑作だと思います。

全編を通して付かず離れず、対象を優しい眼差しで捉えたハンダン・イペクチの演出手腕は大したモノで、主演二人が信じられないくらい魅力的に描かれています。特にヘジャル少女役のディラン・エルチェティンの表情は『ボネット』のヴィクトワール・ディヴィソルを明らかに越えており、その輝きは多くの人の心を揺さぶるでしょう。物語は隣人の孤独な未亡人を始め、二人を取り巻く人間模様を垣間見せながら、ゆっくりと確かな歩みでお互いの間の壁が消えていく模様を丁寧に描いています。二人の交流から、TVニュースを見ながら保守派の堅物だったと思われる元判事ルファトの独り言や、クルド人に対して厳しい政策を行ってきたトルコの現在の姿を通して、人類が行ってきた過ちを鮮やかに見せてしまう脚本には脱帽しました。良く言われるコトですが、国家という枠組みの中では黙殺されてしまうそれぞれの事情も、一人一人と触れ合えば理解し合える可能性が高い!という希望を抱かずにはいられない映画でした。時として“小さな愛のかたち”は大勢の人の心を動かすんですよね!クルド人弾圧を行ってきたトルコも今はこういう映画が作られるようになったんですねぇ・・・『少女ヘジャル』の成功はトルコをさらに素晴らしい国へ導く標となるのは間違いないでしょう(願望)。


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