Deckard's Movie Diary
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| 2004年04月01日(木) |
殺人の追憶 東京原発 かまち |
『殺人の追憶』は韓国アカデミー賞の作品、監督、主演、照明の4部門受賞で『シュリ』『JSA』を配給したシネ・カノンが「韓国映画の最高傑作!」と宣伝している作品です。監督は『ほえる犬は噛まない』で妙なほのぼのタッチが印象的だったポン・ジュノ。さすがに悪い映画ではありませんでした。でも、長過ぎです。実際に韓国で起きた連続殺人事件を下敷きにした人間ドラマなんですが、監督の力量がいまいち追いつかなかったような印象を受けました。阪本順治がこの映画のチラシで「黒澤明の孫が、日本で生まれず、韓国で生まれた。まいった。」と言ってますが、そりゃ、幾らなんでも誉めすぎだろ!ってなモンです(苦笑)。逆に言えばポン・ジュノにあの頃の黒澤のようなバイタリティがあればもっとグイグイと観客を強引に引っ張って、凄い傑作になっていたような気もします。実際にはポン・ジュノの演出はアッチコッチで無駄に長く、流れが途切れるというか・・・『ほえる〜』では良かったこの監督が元来持っているセンスの部分が今回はちょっと邪魔したようです。それでも、長編2作目でこの作品!並外れた力を持っているのは間違いありません。将来、さらに素晴らしい監督になる可能性は十分です。情けないですが、最近の邦画に比べたら圧倒的に面白いですしね(´―`)┌ ヤレヤレ…。というワケで、面白くない!ってことはありませんが、傑作と呼ぶにはちょっと・・・。惜しい!マジで惜しい!観て損はありませんが・・・ボソ。
これは面白いです!『卓球温泉』の山川元監督・脚本『東京原発』。テンポ良し、役者良し、ボケ良し、ツッコミ良し、オマケにこの国の原発政策のデタラメさも分かり易く描かれていて邦画では久々のセンター前クリーンヒットです。話の進む方向も好感持てますし、ラストの描き方も申し分ないです。それなのに、何故に柵越え(ホームランを表す野球アナウンサー用語)出来なかったのか?都庁外でのストーリー部分の詰めが甘くてヌルい印象が拭えません。それゆえ、全体的に安っぽくなってしまいました。大手が金をかけてキチンと作っていれば左中間真っ二つ(劇的な2塁打を表す野球アナウンサー用語)位の出来にはなっていたでしょう。悔やまれます。フラットな画作りも安っぽいし・・・東京フィルム・コミッションのお陰で本物の都庁内会議室や都庁前で撮影されているにもかかわらず、それが本物っぽく見えないしなぁ(苦笑)。まぁ、この内容では大手では無理でしょうけどね(苦笑)。それにしても、原作があるものだとばかり思っていたのですが、ストーリーは山川監督のオリジナルだったんですねぇ。
初めてその作品群を見た時「このデッサン、この色使い、この筆の勢い・・・凄いかも・・・」という印象を持った山田かまち。そして若干17歳でこの世を去った山田かまち。『かまち』はその彼をモチーフにした映画です。で、この“モチーフにした”というのがクセモノでした(苦笑)。“山田かまち”を現代の若者とクロスさせる狙いは悪くないのですが、その試みは実を結ばなかったようです。時間を越えた二つのストーリーが全くリンクしていません。自転車で疾走する映像に山田かまちの詩がストレートに朗読される様は気持ち良く、「おお、これはいいかも!」と感じさせてくれたファーストシーンだったのですが、そこで終りでした(早いよ!)。監督は成人映画出身で、これまで大人の濃いぃ〜人間模様、男と女の濃いぃ〜関係を描いて秀作(『鬼火』『恋極道』『皆月』)を発表してきた望月六郎。やはり望月に“青春映画”は無理だったようです(苦笑)。なんともケッタイな作品になってしまいました!Σ( ̄□ ̄;)。底の浅い説教映画とも言えますが・・・とにかく、なんじゃこりゃ!の出来上がりです(笑)。それにしてもメインキャストを務めるLeadの4人ですが、しょーもないですなぁ・・・。上映中、女子高生二人組が携帯電話でスクリーンに向けてやたら写真撮ってましたわ。
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