Deckard's Movie Diary
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2003年12月08日(月)  ラスト・サムライ

予告編を初めて観た時に「お、これは・・・」と思わせてくれる作品はそうは多くありません。今作はまさにそういう1本でした。その画面から並々ならぬ緊張感を発していたトム・クルーズ最新作『ラスト・サムライ』。監督はエドワード・ズウィック。デンゼル・ワシントンに初のオスカーをもたらした『グローリー』は極上の陶酔感に溢れた傑作でしたが、最近作の『戦火の勇気』『マーシャル・ロー』ではちょっと失速気味でした。今作は『グローリー』に近い雰囲気が感じられたので期待していたのですが、その思いは裏切られるコトはありませんでした。この作品は紛れも無く必見に値する映画です。“最後の武士”は全てが美しく、滅びゆく姿はまさに凛と咲いた花が散り行く潔い印象を観ている者に与えてくれます。このストーリーを「美化し過ぎ!」というコメントが東海岸の方からちらほら聞こえてきますが、それはこの映画の本質を全く理解していません。美しいから成り立つストーリーであり、何より驚かされたのはハリウッドの制作者達が武士道というモノをここまで理解していたのか!という事実です。もちろん、トム・クルーズ扮するオールグレン大尉の背景が脚本に厚みを加えているのは言うまでもありません。サムライ達の一挙手一投足にほとんど非の打ち所がありませんし、演じる渡辺謙、真田、こゆき、子役等への演出も的確です。特に渡辺謙は物語が進むに連れて、その存在感を存分に知らしめます。邦画だけに出演していたらこういう状況があったのかどうか・・・。また合戦シーンも凄まじいテンションと迫力に溢れ、素晴らしいモノに仕上がっています。欠点が無いわけではありません。が、そんなコトは気になりませんし、十分許せる範囲です。ハリウッド映画なのに、観終わった後、自分が日本人に生まれたコトを誇りに思えてしまう稀有な作品。嬉しくもあり、はがゆくもあり・・・ボソ(全編に渡ってちょいと褒め過ぎかも・・・(苦笑))


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