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Deckard's Movie Diary index|past|will
“ジェームズ・ナクトウェイ”という戦場カメラマンの知識はほとんどありません。驚いたのはその立ち振る舞いで、物静かで、理知的で、決して熱くなるようなコトが無い、どちらかというと大学教授のような雰囲気です。そしてそれは戦場でも変わるコトが無く、ゆっくりと冷静に被写体に迫っていきます。母親が息子の死を悲しむ場面、あまりに無遠慮(そう見えた)にシャッターを切るので「こんなん近くでパシャパシャやられたらタマランなぁ!」と思ったのですが、どうもそういう匂いを相手に感じさせてないようでした。「言葉が通じなくても心をオープンにすれば相手は受け入れてくれる」と彼は簡単に言うのですが、それは持って生まれた彼の特技なんでしょう。心の内に湧き上がる全ての感情は一切表に出さず、全ての気持ちはシャッターを押すその瞬間にだけ込める!と言い切る、その強靭な精神が彼の独特のスタイルを生んでいるようです。望遠レンズは使わず、どこまでも対象に近づいていくナクトウェイ。自分の写真で人を動かす事が出来る!と言う、彼を楽天家という人も居るらしいですが、深い絶望を間近で見つめて来たからこそ、その先に“希望”を見出しているのではないでしょうか。人間、生きていく為には“希望”は必需品です!映画としては監督の手腕が拙く、塊として凝縮されていないので全体にバラバラな印象は否めません。最高の素材なのになぁ・・・ボソ。ただ、彼のカメラの前後にCCDをつけて撮った映像がけっこう出てくるので、シャッターを切る瞬間が非常に良くわかります。ここは連射だろう!と思っても1枚1枚撮っていたりと・・・興味深い見方も出来ました。それにしても!ナクトウェイが撮った写真の数々は実に説得力がありますねぇ!
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