Deckard's Movie Diary
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2003年06月17日(火)  スパイ・ゾルゲ

『スパイ・ゾルゲ』・・・長いよ!ツッコミを入れたところで本題に入りますが、長いよ!あ、すみません。また言ってしまいました。どうやら、この映画は2時間半枠のオンエアで観賞すると良い印象を受けそうです。篠田正浩のラスト・フィルムになったこの作品ですが、最大の弱点はゾルゲ自身に魅力が感じられないところでしょうか。「ゾルゲは、酒を愛し、女を愛し、スピードを愛した。出会うあらゆる人間を魅了した、ハンサムなスパイ」というコトなんですが、全く魅力がありません。例えば『パットン大戦車軍団』のジョージ・C・スコット演じるパットンは良くも悪くも魅力的でした。この作品のゾルゲには、そういうカリスマ的な魅力が全く感じられません。だから淡々と歴史の流れの中で蠢く人間模様だけです。所謂大河ドラマ(それでも長過ぎ!)としては及第点かもしれませんが、映画としてはイマイチの出来だと感じました。目指した理想はあくまでも高く、時には非情に振舞いながら普段は俗物的なコトに埋没しているような人間性をもっと鋭く描いて欲しかったです。イアン・グレンはちょっと地味なんですね。例えば、往年のヘルムート・バーガーとかデビッド・ボウイ、今ならジュード・ロウとか。誰にせよもっと妖しい魅力がないといけません。周りを固める日本側の役者陣もまた魅力的な人物像が皆無です。これは寂しいモノがありました。本木雅弘も精彩がありませんし、椎名桔平の役どころはつまらないし、葉月里緒菜に関しては開いた口が塞がりません。篠田の演出がヌルい!というのもあるでしょうねぇ。ある意味、篠田の欠点がモロ出ている映画かもしれません。彼の欠点はナンと言っても真面目過ぎるとこです。その真面目さがエンディングの♪イマジンに繋がるのですが・・・やはり唐突です。それにしても気の毒なのは、ゾルゲの奥さんですよ・・・・ボソ。


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