Deckard's Movie Diary
indexpastwill


2001年12月12日(水)  イースト/ウエスト 遥かなる祖国 モンキーボーン

 「自己犠牲愛とはナルシズムの屈折した形であり、マゾヒズムの一種でもある。」 誰が言ったが知らないが(え゛、誰も言ってない?)、『イースト/ウエスト 遥かなる祖国』はそんな言葉が似合う映画でした。大戦後の東西冷戦時代。ロシア人医師・アレクセイと妻のフランス人・マリーとの夫婦愛、歴史をまたぐ大河ロマンです。全編を通じて、ロシアの大地から自由を求めて祖国を想うマリーの強い意志が描かれるのですが、その意志の影には、家族を想い、妻を想う夫・アレクセイの地道な努力があるのです。現実の中で、よりよい生活環境を見つけようとする男の生き方もあれば、納得出来ない現実から、なんとか脱出しようとする女性の生き方もあります。そして何よりも人の為に自分を犠牲にする事によって、自分の存在価値や生きる目的を見出していくというところにこの映画の素晴らしさがあります。「そんなものは偽善だよ!」と言う人もいるかもしれませんが、別に偽善でもいいじゃないですか。生きる目的さえあれば、人は簡単に倒れたりしませんよ。駅で妻を待つアレクセフの気持ちを想うと・・・・・泣けてきます。惜しむらくは、もう少しドラマティックに盛り上げて欲しかったなぁ・・・・個人的な趣味ですが。監督は『インドシナ』『フランスの女』のレジス・ヴァルニエ。

 東京ファンタスティック映画祭でやたら評判が良かった『モンキーボーン』。レイトショーだったので入り口で並んでいると、エレベーターから友人のAさんが「あらぁー!」と降りてきて、席についてアホな話しをしていたら、今度は「あれれ〜!」っとMさんが現れて、いきなり3人での鑑賞会になってしまいました。君らホントに映画好きやなぁ!(爆) 監督は『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』のヘンリー・セレック。ブレンダン・フレイザー扮する漫画家ステュが作った、本人の大嫌いなキャラクターがモンキーボーン。ところが事故で昏睡状態になったブレンダンがモンキーボーンに身体を乗っ取られて・・・・まぁ、監督が監督ですから立体アニメーションでダークなクリーチャー世界が展開されます。ティム・バートンの影響もありますが、それでもバートンより健康的ですし、笑えます。難を言えばステュやモンキーボーンの性格や取り巻く環境がよく分からない内に物語がどんどん進んでしまうのが、ちょっと勿体なかったです。だけんどもしかし!そんなコトを補ってあまりあるほど、イけてる映画でした。


デッカード |HomePage

My追加