Deckard's Movie Diary
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| 2001年11月16日(金) |
赤い橋の下のぬるい水 みすゞ ショコキ ファニー・ゲーム Nさん |
「また大手が倒産しそうなんですよ」。牡蠣フライで油っぽくなっていた口の中をアイスティーがさらさらにしてくれる。「もう6000人リストラしたらしいですよ」。ストローは使わずに流し込む。久しぶりに昼食を共にした友人から聞いた話しだった。その時に、チャットでお世話になっているNさんの事が思い浮かんだ。もちろん理由が全くないワケじゃないけれど・・・・。アイスティーのレモン。渋いのは好きだけど、苦いのは嫌い。
久しぶりに時間が出来たので今日は観るぞー!まず銀座に出て今村昌平の『赤い橋の下のぬるい水』。どうなっちゃったの?イマヘイ!オレが知っているイマヘイの映画ではなかった。話がバラバラのままだし、潮吹きだからなんなの?と、あまりの不出来に茫然自失。まさか内容までヌルいとは・・・。
続いては『地雷を踏んだらサヨウナラ』の五十嵐匠の『みすゞ』。『地雷〜』の時もダメだったんだけど、やはりこの監督はペケですなぁ。踏み込みが足りません!金子みすゞの最大の謎とも言える死の真相(自殺)も、ただ淡々と描いているだけで何の解釈もありません。画も素晴らしいし、田中美里も良かったのに、こんな甘い映画になっちゃって可哀相です。以下は『つもった雪』というみすずの詩。
上の雪 さむかろな。つめたい月がさしていて
下の雪 重かろな。 何百人ものせていて
中の雪 さみしかろな。空も地面(じべた)も見えないで
この詩のようにキチンと真ん中も描けよ!と言いたくなりました。
トホホな気分のまま渋谷へ!ジョビジョバのマギー初監督作『ショコキ』。コレは痛かったですねぇ。笑えない・・・・寒いです。劇場がまるでリーガン(エクソシスト)の部屋のようでした(笑)。ジョビジョバは以前深夜帯で「キネマの天使」というコント(北関東弁丸出しの日雇い労務者が、やたら映画に詳しくて、映画ファンの若いフリーターをからかうというコント)をやっていたのですが、アレを膨らませて映画にした方が面白かったんじゃないかなぁ・・・。
ここまで3本全てがトホホ映画だったんですが、最後に控えしは知り合いの映画仲間もお薦めしている『ファニー・ゲーム』ですから、そんなに外れってコトはないでしょう。監督は今年のカンヌ・パルムドールを『ピアニスト』で獲得したミヒャエル・ハネケ。オープニングから上手い作りで観ている者を不安にさせます。最初のシークエンスからヤバ目の空気が漂い、案の定なシーンへ展開。そしてスクリーンには恐怖が充満し、容赦のない暴力が・・・・。1時間43分後、映画は終わりました。その時、オレの心の内は、このフィルムの製作者を、配給したシネカノンを、上映したシネ・アミューズを呪っていました。まずコレは映画ではないです。なぜ、こんなモノを作るのか理解に苦しみます。ハネケは「暴力は撲滅できないものであり、痛みと他人への冒涜であることを伝えたい。だから、暴力を単なる見せ物ではなく見終わった後に暴力の意味を再認識するものとして描かれなければならない。」と、仰っておりますが、そんなコト、お前に言われなくたってワカッてる!ちゅーに!当たり前やろ!自分が麻痺しているからと言って、他人までそうだと思ったら大間違いだっちゅーの!何を偉そうに語ってんじゃねーよ!(←言葉の暴力か?)映画を観始めて早40年。人生のワースト1はコイツです。ホンマ火つけたろか!
家路につく途中、怒り心頭のまま携帯でメールをチェックしていたらNさんからオールナイトのお誘いがあって、そこにNさんの電話番号が・・・。思わず決定ボタンを押してしまい、興奮したまま「あ、もしもしデッカードです!あの、ちょっといいですか?今ですねぇ『ファニー・ゲーム』を観てきたんですが、もう最悪でした!もうホントに、ホントに、ホントに・・・・」ひとしきり愚痴って、少し気が晴れました。その節は御迷惑をお掛けしました。す、す、すんませんでしたー!m(_ _)m でも、この日は朝からNさん絡みだったんだよなぁ・・・・・。こんな日もあるさ!
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