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2002年10月18日(金) 日曜はダメよ

1920年10月18日、ギリシャの文化大臣を務めたこともある
女優メリナ・メルクーリが生まれました(1994年死去)。

日曜はダメよ
Pote Tin Kyriaki/never on Sunday

1960年アメリカ/ギリシャ
ジュールス・ダッシン監督


ギリシャの港町で、
美しく気品のあるイリアという娼婦を見初めた
アメリカ人旅行客のホーマーは、
荒くれ男たちに美神のように崇拝されているイリアに
2週間で教養をつけ、
本物の美神となるよう教育しようとします。
彼女は日曜日には、
取り巻きの男たちと騒ぐのを楽しみにしていて、
(で、日曜日は客をとらないので“never on Sunday”)
いつも男たちに荒唐無稽な“神話”を披露しますが、
その結末は、いつも同じ(しかも何かバカっぽい)でした。
ホーマーには、彼女のそんな話も気に入りません。
(ほっときゃいいのに、本当にノリの悪い迷惑なおっさんです)

自由に生きるのを好むイリアを
「啓蒙して差し上げよう」というのが土台無理な話でした。
その上、取り巻きの男たちにも
偉そうに意見するようになったりして、
ホーマーは、だんだんと反感を買うようになり……

先日、『マイ・フェア・レディ』を御紹介しましたが、
着想は似た感じのお話でした。
(といっても、こちらの方が製作が早いのですが)
本当に、女を啓蒙してやろうなどと思い上がった男というのは
うっとうしくてやりきれないものですが、
この作品の“ウザ男”ホーマーを演じたのは、
監督・脚本も兼ねているジュールス・ダッシンです。
そして、自由なイリアを演じたのがメリナ・メルクーリ。
(2人は実生活では1966年に結婚して、
終生添い遂げたようです……というか、
1911年生まれのJ.ダッシンは、まだ御存命です)

テーマ曲が余りにも有名ですが、
あの能天気なほどに明るい曲調を裏切らない、
すこーんとどっか抜けたような感じさえする
コメディーでした。
直接に訴えるメッセージ性は強くありませんが、
ギリシャの港町をあんなにすてきに見せてくれた彼女が、
その後、軍事政権に楯突いて
国籍を剥奪されたということを考えると、
何だかある種、象徴的な映画になってしまいました。


ユリノキマリ |MAILHomePage