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2002年06月08日(土) 幸福(しあわせ)

6月8日の花はクチナシ、花言葉は私は幸せです。
かなり以前にテレビで見た、こんな映画を思い出しました。

幸福(しあわせ) le bonheure
1965年フランス アニエス・ヴァルダ監督


映画・小説・歌、何でもいいのですが、
内容がタイトルとは全く逆で、どんな意図でつけられたのかを
ついつい深く考えてしまうということが、しばしばあります。
これも、そんな1本でした。

どこにでもありそうな、ある幸福な一家、
すなわち、「庶民で、地に足がついていて、
特に美男美女ってわけでもない夫婦、かわいい子供」
そんな、ある種どっしりしたものを描きつつ、
なんとも映画全体に儚げな雰囲気が漂っていました。

それが意味を持つのは終盤です。
夫は妻を愛していながら、ほんの出来心から浮気をしてしまい、
妻は、その告白を、一家でのピクニックのときに打ち明けられます。
冷静に受け止めた妻でしたが、
その次の日曜日、同様にピクニックに出かけた先で、
妻が姿を消してしまいました。池に落ちて亡くなっていたのですが、
目撃者もなく、事故か自殺か全く判断がつきません。

強い後悔の念にさいなまれる夫でしたが、
その後、彼は……(ネタバレエリア突入〜)

「しあわせ」という言葉が、
一体誰にとって最も重要な単語だったのか、

見る者に判断を迫るわけでもなく、淡々と語られ、淡々と終わります。
だからこそ、考え込んでもしまいます。

50〜60年代のフランス映画で、
こうした漢字2文字のタイトルのものが結構ありますが、
(『ビバヒル』のエピソードタイトルみたい)
そもそもの原題がle bonheure(幸せ)の意味ですので、ほぼ直訳です。
最近は、特にアメリカ映画の
ムードのない邦題への批判がかまびすしいけれど、
そもそも原題の方にも問題がありそうだし…
そこいくと、思えばフランスを初めヨーロッパの映画は、
直訳タイトルで納得の作品が結構あります。
単に言葉のセンスの問題でしょうか、ね。


ユリノキマリ |MAILHomePage