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2002年03月25日(月) 夜と霧

実は、indexを見ていたら、
「や・ゆ・よ」の映画が極端に少ないのが気になったので、
いつかは御紹介したいと思っていた映画を引っ張り出しました。
(安直で済みません。でも、映画は折紙付きの秀作です)


夜と霧 Nuit Et Brouillard
1995年フランス アラン・レネ監督


ジャンルとしては、ドキュメンタリーです。
長さも30分余りで、
「出演者」のにおいがするのはナレーションのみ。
あとは、撮影当時とその少し前のナチスの強制収容所の
実際の映像や画像が使われているだけですが、
目に見えるものならではの残酷さと雄弁さを感じました。
正直、字幕に何と出ていたのか、ほとんど覚えていないほどです。
(かなり皮肉な表現が多かったのは覚えているのですが…)

映像は、酷たらしいものばかりではありません。
鮮やかな青空に、はっとさせられるようなシーンもありました。
でも、非常に禍々しいものを感じさせもします。

私がこのレンタルビデオを借りたとき、
4分目くらいのところでとまっていました。
前に借りた人が、ここまで見て返したのでしょう。
なぜそこまでしか見なかったのか、非常に興味がわきました。
(でも、巻き戻さないのは感心しませんな〜)

タイトルの由来は、1941年に出された
ヒトラーの特別命令“Nacht und Nebel”だそうです。
ドイツ国民以外で占領軍に対する戦犯と見なされた者が、
夜のうちにこっそりと強制収容所に送られ、
その消息は家族にも知らせない…ということから、
それが「家族の集団責任」に拡大解釈され、
さらに、ナチスのつくり出した生き地獄を端的にあらわすのに
用いられるようになったようです。

…というようなことが、
V.E.フランクル著『夜と霧』の冒頭の解説に書いてありました。
実は、この本の原題は、
日本語に訳すると『強制収容所における一心理学者の体験』
となるそうです。
この本の日本での初版が1961年といいますから、
映画のタイトルともなったシンボリックな言葉をタイトルとして採用し、
不謹慎な言い方ですが、「大成功」となったわけですね。
今の、私の手元にあるのが、
1999年出版の「新装版第23刷」です(新装版の初版が1971年)。
大ロングセラーですし、今後も読み継がれるべき1冊です。
御参考までに……。


ユリノキマリ |MAILHomePage