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2002年03月08日(金) ミツバチのささやき

3月8日は、国際女性デー…なんだそうで、
最近はごくごく当たり前になった、
あまたいる有能な女性監督の特集にしようかとも思ったのですが、
もう1つ、「ミツバチの日」という「そのまんま」な記念日でもあります。

実はこの映画については、ちょうど1年前、
このMLが独立する前に、別のMLで書いたのですが、
まるっきり白紙に戻して、もう1回書かせていただくことにしました。


ミツバチのささやき
El Espiritu de la Colmena

1972年スペイン ビクトル・エリセ監督


映像の詩人ビクトル・エリセ監督の初期作です。
(というか、この人は10年に一遍しか映画を撮っていません)

内戦の傷跡が残る1940年、スペインの片田舎の町で、
映画『フランケンシュタイン』の上映会が行われました。
少女アナ(アナ・トレント)と姉のイザベルは、
連れ立って見にいき、
そのおどろおどろしさを心から堪能します。
(どうして子供って、怖いもの好きなんでしょうね…)

その興奮をそのまま持ち帰った2人ですが、
イザベルはアナに、あの怪物は森に住んでいると吹き込んだので、
アナは、ある日草原の掘っ建て小屋で出会った手負いの脱走兵を、
怪物だと思い込み、食べ物を運んだりして献身的に介抱します…

とにかく、静かな映画です。
セリフといえば、アナとイザベルが怪物についてベッドの中で
饒舌に話し合うシーンがあるくらいで、
あとは必要最小限のセリフしか出てきません。
つまりは、映像美を味わうしか楽しみがなくなるわけです。
私はそういうタイプの映画が実は苦手なのですが、
この映画だけは、折に触れて何度も思い出します。

田舎ののどかな空気の流れと、癒し難い戦争の傷跡を、
素朴で、それでいて洗練された表現で見せるわけですが、
映像美といえば、この映画に関していえば、
何といっても主人公アナ・トレントの
大きな目の美しさに尽きる気がします。
彼女はその後、何本かの映画に出演しますが、
この映画がお好きな方にとっては、
永遠に『ミツバチのささやき』のアナでしょう。

ところで、3つ前のパラグラムで、
「怪物」と言いましたが、
『フランケンシュタイン』って、
怪物をつくった博士の名前ですよね…
あの怪物って、一体何という名前なのでしょう?
そのまんま、フランケンシュタイン・モンスター?


ユリノキマリ |MAILHomePage