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2002年03月03日(日) ビヨンド・サイレンス

本日3月3日が、語呂合わせで「耳の日」なのは有名な話ですが、
「耳や聴力への関心を高め、
聴覚障害の予防・治療を徹底するための記念日」
(1956年、日本耳鼻咽喉科学会が制定)
という趣旨までは、恥ずかしながら考えが及びませんでした。
そこで…

ビヨンド・サイレンス Jenseits Der Stille
1996年ドイツ カロリーヌ・リンク監督


主人公は、ララという少女です。
両親ともに聴覚に障碍があり、
(実際、聾の役者さんが演じていらっしゃるそうです)
幼くして両親の不便を巧みな手話でフォローしてきたおしゃまな娘は、
長ずるにつれ、だんだん音楽への関心を深め、
また年の離れた妹の出現もあり、だんだんと親離れをします。
しかし、ララの音楽の世界への傾倒や、
それに関係する叔母(父の妹)と彼女の親しい関係は、
父にとっては我慢のならないものでした。

ずっと両親を支えてきた2本の手が、
クラリネットを吹いたり、
愛する恋人と抱き合ったりするためにあることに気づくのは、
年頃の娘としては、ごく当たり前のことなのですが、
父が音楽を憎悪しているのには、訳がありました…

子供時代のララを演じた子役も達者でかわいらしいのですが、
成長後の彼女に扮したシルビー・テステューの、
「美人とはいえないけれど、どこか心惹かれる風情」のある、
清潔感もみだらさも優しさもずるさもすべて持ち合わせた感じが、
非常に役柄に合っていました。
ドイツ映画でドイツ語を話してはいますが、フランスの女優だそうです。
(同監督が現代風にアレンジして映画化した
『点子ちゃんとアントン』でも、点子ことルイーズの家庭教師役でした)

「ドイツの手話は、アメリカに20年の遅れをとっている。
ドイツでは、手話は手話でしかないが、アメリカでは会話だ
というようなセリフがありました。
(印象で書いているので不正確ですが、そんな感じ)
部屋に入るときに、スイッチの点滅で知らせたり、
母親が自転車に乗るのを、父親が血相を変えてとめたり、
障碍を意識させる描写もありましたが、
そうしたことよりも、広い意味でのラブストーリーとして
非常に優れたものだったと思います。
(音楽への愛、家族愛というのまで含めた「ラブ」)
ラストシーンは、
どこか見る人に結論を任せているところもあるのですが、
温かな感動はお約束できる作品だと思います。


ユリノキマリ |MAILHomePage