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2001年09月05日(水) ブラス!

今日9月5日は、
ク(9)リーンコ(5)ールデイということで、
何かと環境への負荷が取り沙汰される
化石燃料・石炭のイメージを
クリーンなものにするために、
1992年に制定された、「石炭の日」だそうです。

石炭といえば炭坑。
炭坑といえば…我らが健さんの
『幸せの黄色いハンカチ』も考えたのですが、
昨日、家族に向かって、「ねえ、明日“石炭の日”だってさ」
と言ったところ、
相方と長女が異口同音に「じゃ、『ブラス!』だ」と答えたので、
それを採用させていただくことにしました。

ブラス!Brassed Off
1996年イギリス マーク・ハーマン監督


炭坑労働者の、閉山に伴う失業、失望、いさかい……
それでも誇りを失わず、堂々全国コンテストで演奏するブラスバンド
「グリムリー・コリアリー・バンド」(実在)の、
光と影(というか、影と光)の対比がすばらしい、
イギリスくささがたまらない映画です。

以前『リトル・ダンサー』を取り上げたときに、ちょっと触れたのですが、
この『ブラス!』の中で、労使間の話し合いのシーンがあり、
おとなしく使用者側の言い分に妥協しようとする人に向かって、
フィルという男が、「お前は10年前は何していた?」と
責め口調で言うシーンがありました。
10年前とは、ちょうど『リトル・ダンサー』の時代だったと思われます。
(2本まとめて見て、イギリス炭坑町時空旅行などいかが?)

フィルはバンドでトロンボーンを演奏しており、
バンドの指揮者であるダニー(ピート・ポスルスウェイト)の息子です。
2人そろって炭鉱夫で音楽好き。
彼らの仕事の面でも音楽仲間としても信頼し合えるメンバーの1人に、
若いアンディ(ユアン・マグレガー)がいます。
アンディは、新メンバーで美人の幼なじみ(タラ・フィッツジェラルド)と
恋仲になりますか、
実は彼女は、“使用者側”である会社の人間だったのでした。
といっても、「僕たちを騙していたのかぁ!」と彼女を罵り、
傷つけるというようなシーンはなくて、
アンディは彼女の素姓にすぐ気づいた上でつき合うので、
どんな展開になるかはお楽しみに。

コンテストに優勝しようがすまいが、閉山の決定は覆せないし、
現実的に考えれば、「だからどうした」な現実が残るだけです。
それでも、彼らの誇り高さだけは評価したい。
この映画を見て感じてしまった清々しさは、どうしても否定できません。

それにしても、タラ扮する洗練されたOLはともかくとして、
イギリスのおば…女性って、何でああも“派手な小太り系”が
多いのでしょうか。
自分たちの亭主がいるバンドに若い美人が加入したと知り、
バンドのユニフォームとおそろいの色に髪を染め、
サポーターとしてバスに乗り込むあたり、なかなか笑えました。

以前、有名人が自分の好きな映画を1本紹介するという番組で、
松尾貴史さんがこの映画を取り上げ、
「涙への前戯としての笑いは嫌い。
この映画はそういうんじゃないから好き」
とか表現していましたが、
そう言いつつ、実は松尾さん、
この映画をごらんになってぼろ泣きしたんではないかと
にらんでいます。
それも、何回見ても同じところで泣いてしまうというやつ。
実は私がそうです。
コンテストのシーンで、
もみ上げの長い男が指揮をしているシーンを見ると、
条件反射のように涙が出てきます。
こういうのって、説明不能ですよね。


ユリノキマリ |MAILHomePage