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2001年07月22日(日) ドクター・ドリトル2

ドクター・ドリトル2 Dr.Dolittle2
スティーブ・カー監督


前作と違い、ドリトル先生が動物と話せることが前提となった今回は、
のっけから動物がしゃべる、しゃべる!
これだけで、少し疲れてしまいました。

医者としての仕事の傍ら、
世界中の動物のカウンセリングにも大忙しのドリトルのところに、
アライグマを介して、森のゴッド・ビーバーからのSOSが入りました。
(ビーバーとの出会いのシーンで、ゴッドファザー風の曲!)
悪徳業者による森林伐採をやめさせてほしいという依頼です。

ドリトルは、弁護士である妻リサや、動物の専門家に相談し、
その森に1頭しか確認されていないウェスタン・パシフィックという熊を
保護するという名目なら、
森の伐採を遅らせる(中止も視野)命令を裁判所からとれると、
同じ種類の熊で、サーカス団のアイドル、アーチー(♂)と、
森にたった1頭のエバ(♀)をカップリングさせるため、
すっかり野生を抜かれたアーチーを野生に戻すために奮闘します。
(このトレーニング時の曲、
時に『ロッキー3』のテーマ曲風←イントロだけだったかな)

努力の甲斐あって、アーチーとエバはいいムードになりますが、
悪徳業者の陰謀により、
アーチーは人里に降りて人家を荒らす危ない熊に仕立てられ、
メキシコのサーカス団に再び売られそうになります。
でも、業者の陰謀を実証する証人は、森のイタチ1匹だけです。
イタチを証言台に引きずり出そうにも、裁判長はふざけるなと怒り、
取りあってもらえません。

そこで、アーチーを、ひいては森を救うために、
ドリトルの呼びかけに応え、まさに世界中の動物たちが立ち上がりました。
(この辺の描写が、なかなかユーモラスです)

軸となる話から少し逸れると、
ドリトル家の長女シャリースは、16歳の誕生祝いを、
ドリトルと既知の(前作に出ていた?)ドブネズミに邪魔され、
父親のヘンな能力に嫌気がさしていました。
ドリトルを演じているのがエディー・マーフィーで、
妻リサが、ブラック・ビューティーのクリスティン・ウィルソンですから、
この2人から生まれた娘たちも、黒人の美少女です。
かわいくて年頃のシャリースには、ボーイフレンドが当然いますが、
ドリトルは、自分のことを「ドクターD」などとラッパーみたいな呼び方をする、
調子ばかりいいその少年が気に入りません。
その辺のやりとりも笑えます。

こんなふうに、いかにもファミリー向けの映画で、
一体何を考えさせられたかといえば、
「この映画、悪用されないといいけどな」ということです。
何しろ、森林伐採反対!の立場ですから、
これは文句のつけようのないエコロジー重視の思想です。
それ自体はいいでしょう。

でも、これはあくまで個人的な見解なのですが、
「為にする」というか、エコロジーの考え方を敢えて曲げて解釈して、
「これさえやってりゃ、まあよかろう」的な環境保護行動が、
最近、余りにも多い気がするのです。
エコロジーって、そもそも「生態系」のことのはずなのに、
どこかに寄っている「しわ」を完全に無視し、
「環境にやさしい」「地球にやさしい」をお題目のように唱えて売る商品とかね。

ところで、私が時々覗かせていただくサイトがあるのですが、↓
http://www.ne.jp/asahi/doken/home/charoko/index.htm

こちらを運営なさっているのは、
カヤネズミの生態を研究なさっている学者さんです。
私はこういう人を「エコロジスト」と呼ぶべきなんだろうなと思うのですが、
今、ある意味でかなり苦境に立たされているようなのですよね。
「ケナフ」という言葉を聞いたことありませんか?
木にかわる紙の原料として注目されているアレですね。
あの植物に、多少なりとも興味を抱いている方は、
上のURLからジャンプしてみてくださいませ……とだけお勧めしておきます。

この映画が、自然環境を守ろう!と、
社会派バリバリで前面に出しているのではなく、
わかりいいおもしろコメディーであることに非常に不安を覚えました。
大抵の人は、口当たりのいいものが好きなはずです。
映画本来の内容が曲げてとらえられ、
自分たちの活動に有利になるようにだけ扱うような団体が現れないことを
ただ祈るばかりです。

では、この辺で……。
人一倍紙を使う仕事をしているので、ちょっと避けて通れない気がして、
社会派を気取ってしまいました(これでもっ)。


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