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2001年05月10日(木) リトルヴォイス

5月10日から1週間、愛鳥週間だそうですね。
鳥というと、どうも苦手という方も結構いらっしゃるようですが、
私は見るのも食べるのも好きという、無節操でよくいる「トリ好き」です。
小学生のころ、学校の前で怪しげなおじさんが売っているヒヨコを買い、
毎日ハコベなどの草を摘んで、えさとして与えていたことがありました。
ただ、私なりに一生懸命世話をしたはずなのに、
成長してからの行方がとんと思い出せないのです。
大抵は、農村部の親戚のところに預けたりするのでょうが、
それもどうもピンと来ないし、
「さあ、今夜はごちそうよ」というようなこともなかったし、
どうなっちゃったんでしょうか、あの子。
飼った経験というと、この程度なのですけど、
例えばレース鳩や伝書鳩のオーナーなどというと、
人生賭けているような感じの方もいらっしゃるようですね。

で、鳩の世話が唯一の楽しみみたいな、
でも、とても心優しい青年が登場する映画を思い出しました。
その青年役をやっていたのは、ユアン・マッグレガーです。
McGregorという姓は、正確にはどう発音すればいいのか、
実はよくわからないのですが、
巷でよく見る「マクレガー」は、
「3文字目のGはどこ!?」と、すごい違和感を覚えるし、
「マグレガー」も何となく……なので、
個人的に「マッグレガー」とさせていただきます。
もっとも、本文中では「ユアン」と呼ぶと思いますけれども。

リトル・ヴォイスLittle Voice
1998年ギリス マーク・ハーマン監督


もともと舞台ミュージカルである本作は、
脚本家がジェーンの物真似の才能に惚れ込み、
書き下ろしたのだそうです。

美人というよりは、不思議なムードが印象に残る、
ジェーンの歌声は「聞き物」です。
興行師マイケル・ケインは、おそるべき俗物ぶりだし、
ブレンダ・フリッカーときたら、この母親の娘として生まれてきた
ジェーンに同情したくなるような女性ですが、
ジェーンが、好きだった父亡き後、唯一心を許す青年は、
電話屋さんのユアンでした。
仕事仲間に吹き込まれた悪知恵で、
最初はジェーンを口説こうという下心でもって近づいてきますが、
内に籠もりがちなジェーンの寂しげな目を、
何とか外に向けさせようと腐心していました(健気なもんです)。

リトル・ヴォイスというのは、
ジェーン(役名はローラ)に母親がつけたニックネームです。
略して「LV」と呼んでいました。
いつもおどおど小さな声でしゃべるから、という意味のようです。
ところが、父が残した古いレコードに合わせて歌うとき、
彼女はジュディ・カーランドにもマリリン・モンローにもなれました。
彼女で一儲けしようと企んだマイケル・ケインは、
自分に気がある中年女(ブレンダ)をもいいように利用しました。
彼がこの役で各種の映画賞のノミネートや受賞をかちとったのは、
「演技に見えないほど嫌な奴だったから」じゃないかと思います。
「サイダーハウス・ルール」の医師役より、
2個目のオスカーはこちらで獲るべきだったとさえ思います。

全体の印象は皮肉で、後味は最低の映画ですが、
エンディングがやたらさわやかでもありました。
好き嫌いは分かれるところだと思いますが、
一応ある種の秀作としてお勧めです。


ユリノキマリ |MAILHomePage