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2001年04月11日(水) 1987年度アカデミー賞ノミネート作

1988年の今日、
坂本龍一を含む「ラストエンペラー」音楽スタッフが、
アカデミーオリジナル作曲賞を受賞しました。
ラストエンペラー」は、ちょうど昨年度の
「グリーン・ディスティニー」と同じで、
役者に(感情表現が乏しく見える)東洋人が多かったのが、
キャスト部門で全くかすりもしなかった要因と思われますが、
大きな声では言えないけれど、私個人としては、
ジョン・ローンが見ていて痛々しいというか、
「すごいなぁ」というより「頑張ってるなあ」としか思えなかったし、
女優も、特に印象に残った人がいません。
これも個人的な意見なので、聞き流していただきたいのですが、
キャストを除く幾つもの部門をナメるように受賞する映画より、
受賞はキャストが1,2部門で、下手をすると
作品賞の候補にも挙がらないというタイプの方が、
私は映画として好きです。

この年、「ラストエンペラー」は大本命といってよかったでしょう。
けれども、ほかもなかなか見応えのある作品が並びました。
「サイダーハウス・ルール」「ショコラ」と、
ここ2年連続で監督賞にノミネートされたラッセ・ハルストレムが、
初めて監督賞にノミネートされた年でもあります。

ちなみに、 対象作品だった「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」は、
外国語映画賞を受賞しました。
ハルストレムファンの間では、
「ギルバート・グレイプ」が圧倒的に評価が高いようですが、
私は「マイライフ…」も決して嫌いではありません。

◎「危険な情事」エイドリアン・ライン監督
ホラーじみた映像が満載だったものの、なかなかのドラマでしたね。
「免許証の書き換え時に見る交通安全啓発のドラマみたい」だと
表現していた人がいました。
「どうです、不倫って怖いでしょ」というわけですか。
ちなみに、この映画の主演男優マイケル・ダグラスは、
この作品ではなく、「ウォール街」で主演男優賞をとりましたが、
そんなによかったか?と思ったのは、私だけではないと思います。
絶対この賞は、ロビン・ウィリアムズか、
(「グッドモーニング,ベトナム」)
マルチェロ・マストロヤンニ(「黒い瞳」)のものでした。

◎「ブロードキャスト・ニュース」ジェームズ.L.ブルックス監督
いつもなら、絶対最も好きになりそうなジャンルなのに、
どうも冗長な感じを受けました。大人のラブコメです。
見た当時19歳だった私にビンと来なかったのは、
年齢のせいだけでしょうか。
でも、映画の中の三角関係そのままに、
それぞれ主演男優、主演女優、助演男優にノミネートされた、
ウィリアム・ハート、ホリー・ハンター、アルバート・ブルックスは、
皆さん安心して見ていられるうまさでした。

◎「月の輝く夜に」ノーマン・ジェイソン監督
シェールが主演女優賞、オリンピア・デュカキスが助演女優賞を、
それぞれ受賞しました。
シェールの婚約者の弟役で、まだ若かったニコラス・ケージが
出ていたのですが、
同時期に「赤ちゃん泥棒」なんてオフビートなコメディーもあり、
絶対ニッキーは「来る」と思っていたら、ブレイク遅かったですね。
イタリア系の一家が中心になっているため、
すごくイタリア色の強いドラマでしたが、
オリンピア・デュカキスがレストランで1人で食事をしていたとき、
話しかけてきて、成り行きで彼女の頬にキスをした男性を、
(多分アイルランド系の)ジョン・マホーニーが演じていて、
ちょっと冷たそうだけど、紳士的でいい感じだなあと思っていたら、
この映画以外では、嫌な役多い人でした。
大統領選挙の年でもあった88年、
オリンピア・デュカキスのいとこ、マイケル・デュカキスが、
ジョージ・ブッシュ(もちろん先代)の
対立候補として名前が挙がっていて、
受賞スピーチでオリンピアは、、
「マイケル、頑張って!」と叫んでいました。
結果は、御存じのとおりでしたが……。

◎「戦場の小さな天使たち」ジョン・ブアマン監督
ノミネート5作品の中で、私はこれが一番好きです。
作品賞と監督賞にノミネートされただけでしたが、
役者さんも皆さん達者でした。
それだけに、印象に残りにくかったのが敗因かもしれませんけど。
「かわいい子役はアメリカ、賢い子役はイギリス」
という言葉を耳元でささやかれながら見たら、
「なるほどね」と思うような、
知的な雰囲気の少年が主人公でした。
今は亡きイアン・ヴァネンの
(近作「ウェイクアップ・ネッド!」もよかった)
ラストシーンでの高笑い、今でも忘れられません。
また、「グレート・ブルー」(「グラン・ブルー」)で
ジャック・マイヨール的な役を演じていた
ジャン・マルク・バールが、カナダ兵の役で出演してしました。
そういえば、これは後で知って驚いたのですが、
「グレート…」で、
ジャックのライバルだったエンゾ(ジャン・レノ)も、
実在のモデルがいる役だったのですね。
ちょっと前、何かのテレビ番組で、かなり高齢で御存命と知り、
二度びっくりしました。

この文中に唯一あらわれなかった「助演男優賞」は、
「アンタッチャブル」のショーン・コネリーが受賞しました。
うん、それ自体は依存ないのですが、
彼の映画の中での「最期の」シーンはひどかったと思います。
また、今やノミネートの常連で、
第二のシドニー・ポワチエの呼び声も高いデンゼル・ワシントンが、
南アのアパルトヘイトを扱った「遠い夜明け」で
助演にノミネートされた年でもありました。


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