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2001年04月06日(金) レインマン

1940年4月6日、
映画監督のバリー・レビンソンが生まれました。
ということで…

レインマン Rain Man
1988年アメリカ バリー・レビンソン監督

リオノーラ・フライシャー【レインマン】早川書房

『ギルバート・グレープ』を見て、L.ディカプリオを
本当に知的障碍者だと思った人もいたそうですが、
「レインマン」ことダスティン・ホフマンが演じた自閉症の男は、
熱演というよりは、「そのもの」でした。
D.ホフマンの奥様ですら、彼を自閉症だと思ったのだとか。

この映画は、製作に当たり、監督の交代劇もありました。
ちょうどそのころ『ミッドナイト・ラン』が評判よかった
マーチン・ブレストとか、
あの大御所スピルバーグとか。
でも、結局は、演出すべき人がした理想的な仕事だったのだなと、
そんな感想を抱かせる秀作となりました。

銭ゲバのようだったトム・クルーズが、
「幻の兄」だと思っていたレイモンド(レインマン)と接することで
人間らしくなっていくさまも、
飽きさせない程度に丁寧に扱われていました。
また、彼の恋人を演じたヴァレリア・ゴリノの
温かみのある美貌も忘れがたいものです。
彼と共演した女優の中では、私はこの人が一番きれいだと思いました。

基本はロードムービーですが、やっぱり「アメリカ横断」というのは
ロードムービー向きですね。
トム演じた「チャーリー」にしてみれば、自動車で移動するのは
不本意だったのでしょうが、
そうせざるを得なかった理由は……?
映画の見せ場の1つです。ネタバレしたくないので、黙っときますが。
チャーリーの運転するビュイックのオープンカーが、
乾いた大地を走る姿も、非常に絵になっていました。

オープニングの「IKO IKO(アイコ アイコ)」から、
全編を通して音楽の使い方もよかったと思います。
そんなわけで、サウンドトラックもお勧めしておきましょう。

自閉症という障碍について、
積極的に啓発しようとしている感じは受けませんでしたが、
必ず何かが残ります。
そんなに後味の悪いものではないけれど、少々苦いものでした。

ちょっと小ネタです。
ちょうどこの映画と同時期に、
トム・クルーズの「カクテル」も日本公開になりましたが、
そのころ
「B21スペシャル(ヒロミ、デビッド伊東、ミスターちん)」のコントで、
バーテンダー志望の青年がワンショットバーに
雇ってくれとやってきて、
「トム・クルーズの映画を見て憧れた」と動機を言うものの、
まねするポーズは「レインマン」の
ダスティン・ホフマンのそれだった……というのがありました。

私はたまたまそれを、実家に帰ったときに父とTVで見ていたのですが、
「これ、おもしろいのか?」と聞かれました。
映画がおもしろかったのか、それともギャグがよくわからなかったのか、
判断がつきかねて、「まあね」などと、曖昧に答えた覚えがあります。
結局父と母は、半年ほどしてビデオが出てから早速借りて見て、
非常に好感触を得たようで、
何かというと「ホ・ホー」とダスティン・ホフマンの口ぶりをまねたり、
下着を買う店にやたらこだわったりしたそうです。
そういう親に育てられると、私のようなイチビリになるのでした。


ユリノキマリ |MAILHomePage