明日夢が持って来たケーキに 香須実と日菜佳がため息をつく。
「えっと。これはいやでしたか?」 おずおずと聞いてみる。 「いやじゃないけれど」 「大好きだけど」 大きな生クリームのケーキに乗った 真っ赤な苺。 「大好きなんだけど 思い出しちゃうのよ」
ケーキの苺を食べて お説教された事。 幼少の嫌な思い出。
「すみません気がつかなくて」 「明日夢は悪く無いよ」 ひょいと顔を出したヒビキが ケーキの上の苺をパクり。
「ヒビキさん御儀悪いですよ」 明日夢が注意した。
ら。
「そうよね、行儀悪いよね」 更に落ち込む姉妹。
「ご、ごめんなさい」 どうしていいか分からなくなった 明日夢に とりあえずケーキを食べようと おやっさんが声をかけた。
「メリークリスマス」 イブキとあきらがやって来た。 おおきなケーキの箱を持って。
「二人の為にチョコケーキを買って来ました」 嬉々として差し出す箱に チョコケーキならと 箱を開けた。
が。
「イブキさん・・・」 「はい」 「これじゃ色が変わっただけです」
生チョコケーキの上に 真っ赤な苺。
白いケーキに 真っ赤な苺は 日本特有で。 しかも遡ると 明治時代の頃らしい。
そんなうんちくをトドロキがしていたなんて 誰も知らなかった クリスマス。
「ケーキと肉が食える日だろ?」
ヒビキの一言に 誰もが無視したクリスマス。
いい事がみんなにありますように。
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