囚はれのシネマ日記
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2006年03月28日(火) スイスの水をめぐる旅の終はり

ホテルの窓の外、モンブラン通りに雨が降つてゐる。
かなり本格的な雨なのに傘もささずにちらほら歩く人がゐる。
人通りはまばらで国際都市の朝の光景とはとても思へないほど。
けふの予定は11時にジュネーヴを発つて11時55分にチューリッヒ到着、乗り換へて13時5分チューリッヒを発つて明日の朝7時55分成田に到着。
またしてもながいながいフライト。
何らかの理由でもし飛行機に乗り遅れたらどうしやう、と思ふと昨夜はあまり眠れなかつた。
ジュネーヴのテレビでは日本のニュース番組が放送されてゐる。
NHK朝のドラマも。
ニュースではフランスのストライキをくり返し報道してゐる。
フランス政府の若年者雇用促進策「初期雇用契約」(CPE)の撤廃を求める労働組合、学生団体、野党は28日、全土で大規模ストライキを実施する、と。
フランスから帰国する人・旅する人は大変な影響をこうむるだらうけれど、ここはスイス。
たとへ四方をフランスに囲まれてゐるとしても。
しかしスイスの鉄道には南フランスまで直通の列車が走つてゐるので、足止めされる人はかなり多いだらう。
スイスはドイツ・オーストリア・フランス・イタリアに囲まれた九州ほどの小さな国。
国境を超えることは関門海峡や豊予海峡を渡ることと同じやうな感覚なのかも知れない。
私がヨーロッパを好きな理由のひとつは、この国境をやすやすと超えられることにあるのかも知れない。
私たちはスイス最後の朝食をホテル・ブリストルのレストランでとつた。
ハーブの演奏つきで、雨にぬれる中庭に面し薔薇の花が飾られたテーブルで。
客のほとんどはスーツ姿のビジネスマンだつた。


ホテル・ブルストルのうつくしい螺旋階段(↓)





9時半にホテルをチェック・アウトしてタクシーで空港まで行く。
空港まではほんの20分ほどだつたので時間はたつぷりあつた。
空港でスーツケースをスイス・インターナショナル・エアラインズに預けてしまふと、私たちはまるで重荷から解放されたかのごとく身軽になる。
私たちは免税店で最後の買ひ物をする。
スイス・チョコレートとかスイス・オリジナル・ナイキ・Tシャツとか。
予定通りチューリッヒ到着、そしてこんどは迷はずに空港内の電車に乗つて成田行の飛行機の搭乗ゲートへ。
そこには日本へ帰る日本人が列をなしてゐる。
こんなに大勢の日本人が来てゐたのに、なぜひとりの日本人にも会はなかつたのだらう?
たぶんマッターホルンとかユングフラウとかモンブランとか、アルプスを間近に見る旅をして来たのだらう。
みなハイキング・スタイルをしてゐる。
そんな険しくてダイナミックなスイスをふたたび旅することもあるかも知れない。
ミューレンに泊まつてジェームズ・ボンドが活躍したロートホルン展望台へ登つて食事をするやうな旅。
朝に夕にマッターホルンを眺めるやうな滞在。
思ひ返せばこの旅はいつも水のほとりにあつた。
チューリッヒではリトマ川、ルツェルンではロイス川、ベルンではアーレ川、ローザンヌではレマン湖、ジュネーヴでもレマン湖の。
その水の源をたどればアルプスの雪に行きつくだらう。
太古から変はらぬ山と川と湖のとてもシンプルで神秘的な営みに。
座席につくとウェルカム・ドリンクのサーヴィスがある。
わたしはシャンパンを頼む。
これからすぐにでも眠りに落ちたいといふ気分だつた。  (完)






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