囚はれのシネマ日記
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2005年02月12日(土) ジュ・ゲイム・モワ・ノン・プリュ

E・イェリネクのほかにはマンディアルグの小説をいくつかまとめて読んだ。
アンドレ・ピエール・ド・マンディアルグ。
私がむかしから好きな作家だ。
マリアンヌ・フェイスフルの出た映画『あの胸にもう一度』の原作を書いた人(原作は『オートバイ』といふタイトル)。
その『オートバイ』がとてもよかつたので続けていろいろ再読してしまつた。
『満潮』(短編集)細田直孝訳
『ボマルツォの怪物』澁澤龍彦訳
『余白の街』生田耕作訳
『海の百合』品田一良訳

生田耕作訳の『満潮』に鮮烈な印象を受けたことがあるのだけれど、これはそれほどではなかつた。
生田耕作訳はすでに絶版なのであつちを買つておけばよかつたとつくづく思ふ。
『余白の街』はその生田耕作訳で素晴らしい日本語だつた。
20年もむかしに買つてその存在も忘れてゐたのだけれど。
南仏からバルセロナへ旅した男の3日間が異常なほど克明に描かれる。
なぜそんなに克明に描かれるのかといへば、その3日間はもはや「生」の側ではなく「死」の側に接続してゐるからだ。
物語の終はり、主人公がみづから死の引き金を引く場面が鮮烈だつた。
バルセロナといへば昨年の6月に行つて見てきたのだつた。
この小説を読んでゐたらバルセロナの街のおもむきもまるで違ふものに見えたかも知れない。
『海の百合』も何回も読んでゐる。
イタリアのサルジニア島を舞台に少女の破瓜の儀式が描かれる名作中の名作。

結局わたしは、あたらしい小説はあまり必要としないらしい。
いい本は何度読んでもいいのだし、本を読むことを実益につなげる気もしないのだし。
さしあたりブルボン小林の『ジュ・ゲイム・モワ・ノン・プリュ』以外は買ひたいと思はない。



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