囚はれのシネマ日記
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2004年08月18日(水) 読書といふ旅

スペインはロンダまで南下した。
ロンダ→ミハス→コスタ・デル・ソル→バルセロナでこの旅は終はる。
もう一気に終はらせたい気もする。
でも終はらせたらあとは変はりばえもしない日常がだらだらとあるばかり。
でも旅ばかりが旅ではないとも思ふ。
読書はかなり旅に似てゐる。
変はりばえのしない日常ではたびたび読書といふ旅をしてゐる。

『滴り落ちる時計たちの波紋』平野啓一郎
『君の中の見知らぬ女』高橋たか子
『終はりの蜜月―大庭みな子の介護日誌』大庭利雄

以上は最近読んだ本(よかつた順)。
とりわけ平野啓一郎の才能には驚愕した。
『日蝕』は読んだ記憶があるがそれほど感銘を受けなかつた。
もしかしたら途中で投げ出したんだつたかも。
その後の『一月物語』も『葬送』も読んではゐない。
ながすぎるしペダンチックではないかと食指が動かなかつた。
この『滴り落ちる時計たちの波紋』では作風をがらりと変へたのか。
といふかどんな作風でもこなせることを証明したのだらう。
これは9篇のまるで異なる方法によつて書かれた作品集。
憎らしいと思ふ。
まるでWEB日記のやうな殴り書き横書きスタイルの『最後の変身』。
これはものすごくリアリティがあつてまるで作者自身でもあり読者のわたし自身でもあるやうに身につまされた。
しかしそんなリアル現代小説に『初七日』のやうに端正な近代小説も混じつてゐるところがじつに憎らしいと思ふ。
この作家は並外れた憎悪によつてものを書いてゐるのだと確信した。
世界の中心で、憎悪を叫ぶ、だ。



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