囚はれのシネマ日記
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2004年02月25日(水) 人生は、ときどき晴れ、なのかい?

わたしが子守唄のやうに毎晩聴いてゐる「哀しみのアンジー」。
その「アンジー」をミック・ジヤガーは「あいんじー、あいんじ〜」と歌ふ。
鼻にかかつた声で。
つまりAnjieの「A」を「え」ではなく「あい」と発音してゐる。
わたしはこの「あい」といふクイーンズ・イングリッシュに痺れてしまふ。
もうひとつ例をあげれば「Come on baby dry your eyes」。
これを「くもん ばいびー でゅらい よ あ〜いず」と歌ふ。
なんだかその「ばいびー」だのを聴きたいがために曲を聴いてゐる節がある。
デヴィッド・ボウイもクイーンズ・イングリッシュで歌ふ。
だから「stay with me」を「すたい うぃず みー」と歌ひ、「It ain't easy」を「いっと あいんと いーじー」と歌ひ、わたしは痺れてしまふ。
ふたりがスーパースターだからといふわけではない。

たとへばマイク・リーの「人生は、ときどき晴れ」といふイギリス映画。
あの映画の出演者たちは妙にとつとつとした英語をしやべる。
はじめイギリスの片田舎の訛りのある英語なのかと思つた。
しかし主人公のタクシーの運ちやんはロンドンらしき街へ客を乗せたりする。
そしてロンドン近郊らしき中低所得者層の住むアパートに家族と住んでゐる。
そのアパートには、肥満体、失業者、アル中、色情狂、知的障害者なども住んでゐる。
だいたいが投げやりで喜びからは遠く日々生きてゐる(やうに見える)。
といふか、それは普通なのであつて普通の人生を容赦なく映画にするとこうなるのだらう。
とくに肥満体家族(母親を除く)が食卓を囲むシーン。
それはわたしのほうが辛くなるほど、それぞれが人生と家庭を耐へてゐるやうに見える。
不幸が肥満を生むのか肥満が不幸を生むのか?
太つたら人生は永遠に曇りなのか(ほんとに)?
そのやうな根源的な問ひを投げかけるてくる映画なのであります。

かくして、この映画のDVDをわたしは二度見ずにはゐられなかつた。
ひとりひとりの俳優が個性的でとてもいい。
とくにクリーニングの内職をしてゐる女の娘を妊娠させたイカれた男。
妊娠を知らされ逆上したその男は「子供なんか始末しろ!」とわめく。
妙な顔をして「ふぁっきんぐなんとかかんとか!」とさんざん悪態をつく。
出来てしまつた「baby」をやはり「ばいびー」と発音してをりました。


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