ひとりアライグマ同盟バナ 朶話事 たわごと

目次最新来し方行く道


2003年08月22日(金) 「陰摩羅鬼の瑕」

本日読了の本

・京極夏彦「陰摩羅鬼の瑕」講談社ノベルス

 京極堂シリーズ最新刊。 

 相変わらず分厚い。750頁。
 つり革に掴まって片手で読んでいたらまた腰が逝きそうになった。
 でもって、分厚いのにも関わらず途中で読み止められないのが困る。

 勉強しなきゃ…なのに、結局逃避みたくなってしまったではないか…。


 世界とは何なのか。
 何が常識で何が非常識なのか。
 今目前に見えているものが、他者にはどう見えているのか。
 常識なるものはどこから発生してくる物なのか。
 互いの価値観というものは解る事ができるのか。

 シリーズの中でもとりわけ哲学的であったように思える。

 自らにも瑕があり、またそういう瑕を抱えた存在をも知り得るから、
 殊更に引き寄せて考えてしまうのかもしれないとも思った。


 それにしても、京極堂のシリーズも確かに面白いのだけれど、
 最近どのあたりからかいささか鬱陶しくなっているのも事実。

 何だろう? 関口…かな?
 確かに彼のキャラは鬱陶しいのが設定なのはそうなのだが…。
 いい加減そほの暗い観念的なモノローグを、
 せめて半分くらいにしてくれないか、とは思う。
 それはもういいから、早く本論に入ってくれ… とも思う。

 京極堂も榎木津も、相変わらず余りに超人であるからかもしれない。
 そんな人間は居ないのだから…。
 何か…と考えて、西尾維新が似ているのだと、ふと思った。
 あれも嫌世観念的モノローグと超人たちの物語だ。


 儒教(儒学)というのの本質、日本の儒教的なるものの本質、
 仏教と儒教の関り、そんな物たちがこの間まで読んでいた
 日本語の話と結び付く側面があって、興味深かった。
 集まる時には集まる物で、そういう時期というものがあるのだろう。


 榎木津は寝ている。
 京極は良い処取りだ。
 一番好きなキャラがほとんど出てこなかったのが寂しい。

  +++

 そういえば今回、今までで一番妖怪ではなかった様に思います。
 怪異が怪異でなく、理解できるものとして存在している。
 だから解り易いんでしょうねぇ。


目次最新来し方行く道
 mailhome@sub_racoonbooks/moviephoto