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昨日読了の本
・北村薫「月の砂漠をさばさばと」新潮文庫
以下、非常に性差別的、ジェンダー差別的発想及び表現が出てくるが、ご容赦を。
小学生のさきちゃんと、お話を作るお仕事をしているお母さんの、12個の短編集である。
北村薫とは、何者であろうかと思う。 著者近影を見た限りでは、人の良さそうな単なるおっちゃんで、小学生の 日常の実体を、そんなに良く知っている様な印象は受けない。
なのに、この物語達の、異様なリアルさはなんなのだろう。 ホンの十数頁の中で、このリアルな日常を、全く説明的でなく、 極めて自然に織り込みながら、優しく、可愛らしい小品を創り出している。 北村薫がこの物語を、全て取材と伝聞のみで書いて行ったのだとしたら、 作家として極めて巧みなのだろうと思う。 自らの体感し得ない事を、齟齬なく自然に書き綴る事ができる、 という、素晴らしい能力の持ち主なのだろうと思う。 故に、小学生の子供を持つ母親以上に、小学生の事を知っているのではないか とすら感じられる文章には、ただただ脱帽するばかりである。
「月の砂漠をさばさばと」は、童話である。 子供たちにも読める童話である。 しかし、深い。 そして、ちょっとぶっ飛んでいる。 こんなお母さんが居たら良いな…と思ったけれど、 作家の娘は、ちょっと浮いてるんだろうな…とか、ちょっと思ってしまった。
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いや、しかし… 脱帽ばかりはしていられない。 この作家の凄さをスルッと流してしまわずに気付けた以上、 学ぶべき処は、大いに学んでいきたいものだと、つくづく思った。
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さて、今最大の問題は、この“北村薫”と、別の女性作家“高村薫”の区別である。 “北村薫”は男性作家で、“高村薫”は女性作家なのだが、それ以外にこれといった 特徴を知らないのである。多分著作を沢山読んでも、区別はつくまい。
どなたか、エチルアルコールとメチルアルコールの、
「メチルは“目散る”だから、飲めない」
に匹敵するくらいの区別のつけ方を、是非教えて頂きたいものである。
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