Experiences in UK
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2004年05月24日(月) 第41週 2004.5.17-24 モナコGP、バーベキュー

(モナコGP)
週末にF1のモナコ・グランプリがあり、BARホンダのジェンソン・バトン(英国人)が二位に入りました。乱戦の中で落ち着いたハンドルさばきを見せ、最後はトップのヤルノ・トゥルーリ(ルノー)とテール・トゥ・ノーズの接戦を演じてくれました。終盤になって周回ごとにバトンとトゥルーリとのタイム差が縮まるにつれ、英国人アナウンサーの中継はボルテージを上げていっていました。
期待通りに今年のBARチームは目覚ましい活躍です。バトンの同僚である日本人ドライバーの佐藤も今回のレースで素晴らしいスタートを切ったのですが、エンジンが白煙を噴き上げて早々にリタイアしてしまったのは残念でした。
佐藤のマシンが白煙を噴き上げたために、視界を奪われた後続マシンが事故を起こしてしまい、英国人ドライバーのクルサード(マクラーレン)がリタイアの憂き目にあってしまいました。レース終了後、英国の放送局リポーターとのインタヴューで、普段は温厚なクルサードがBARチームに対する怒りを爆発させていたのが印象に残りました。エンジンの不調が分かった時点でピットインなどの措置をとるべきなのに、放置して走り続けるから事故を誘発させてしまったという主旨です。
クルサードの気持ちもよく分かりますが、F1ではしばしばあるハード・ラックの一種でしょうし、オイルを撒き散らして走る怪しい車の後ろにぴったりくっついて走ってしまったクルサードの判断ミスとも考えられます。

(馬と英国人の関係)
日本ではあまりお目にかかれないけど、英国で頻繁に目にするものの一つに、馬があります。
ロンドンの道路では、二頭(二人)で一組になった騎乗警官をしばしば見かけます。パトロールなのか馬の散歩なのかよく分かりませんが、車道を悠然と歩くお馬さんの後ろを車がのろのろとついていくのは奇妙な光景です。
彼ら警官が乗っている馬は、体躯が大きく、毛並みのきれいなえらく立派な馬です。あれだけの馬を維持していくだけでも相当のコストだと思うのですが、あの馬が治安維持にどのような意味を持ち、どんな役割を果たしているのかが全くわかりません。
聞くところによると、英国には軍隊にも騎兵隊が残っているそうです。実際の戦闘に騎兵隊が出動することはないのでしょうが、形として今も残されていると聞きました。日本で騎兵隊と言えば、明治の日本陸軍草創期に精強部隊を築いた軍神・秋山好古の名が思い起こされるわけですが、100年以上も前の話であり、現在の自衛隊には影も形もありません。
当時の日本陸軍が手本にしたのは、たしかドイツ陸軍の騎兵隊でしたが、英国人ないしは西欧人の馬に対する文化的な意味での思い入れは、ちょっと特異なような気がします。英国を代表する金融機関ロイズはシンボルに馬を用いていますし(もちろんイタリアのフェラーリも)、英国の伝統的な文化の一つに競馬があり、同じく伝統的なスポーツとしてポロがあります。
馬と英国人(あるいは西欧人)の歴史的・文化的な関係について、機会があったら調べてみたいと思っているところです。

(バーベキュー)
日本にいたら絶対にしないのに、英国に住んでいるということでなぜかしてしまうことの一つに、バーベキューがあります。
こちらに来てから日本人が開いたバーベキュー・パーティに招待されたことが一度ありましたが、我が家もついにバーベキューなるものに手を染めてしまいました。
英国人は、バーベキューが大好きなようです。春になるとホームセンターでは、バーベキュー・セットが大々的に売り出されます。バーベキュー・セットはピンキリですが、炭を使うもので50〜100ポンド(1〜2万円)、専用のガスボンベを使うもので100〜200ポンド(2〜4万円)くらいします。
大抵の英国人の家にはバックヤード(庭)があるので、そこでジュウジュウやるのが基本で、もちろんキャンプ場のようなところでジュウジュウというのもあるのでしょう。文明国・日本では焼き肉はホットプレートと決まっていますが、この国では炭などでちまちまと火をおこして屋外で楽しむものなのです(そもそもホームセンターなどでホットプレートを見かけたことがありません)。

(ジャパニーズ・デイ・イン・マナーフィールズ)
さて、我が家のバーベキュー・セット使い初めはかなり大々的なものになりました。家に面したパブリックな芝生の庭を会場にして、日本人5家族と英国人3家族(正確にはうち1家族は英国に住むフランス人)が集まり、ほとんどの家族に同じくらいの年齢の子供がいて総勢30名ほどの人数になりました。我々が居住しているマナーフィールズという場所で日頃親しくしている日本人家族の共催で、隣人ロビンさんをはじめ知り合いの英国人を招くという形です。
当日午前、事前の綿密な打合せで作成された計画表にしたがって、担当ごとの買い出し部隊が組成されました。当家の主担当である肉は、近くの韓国人街で調達してくる最高にうまい「韓国焼き肉」用の肉です。買い出しが終わると、女性陣が当家台所で仕込みにかかり、その間に男性陣が火おこしに精を出しました。慣れない炭の火おこしが無事に成功し、氷入りの水をはった大きなポリバケツに缶ビールやジュースをぶち込んで準備完了です。

(英国人のゲストたち)
今回招いた英国人ですが、隣人のロビンさんはパキスタン系英国人のお医者さんです。とても温厚な紳士で、我々の入居一日目からのお付き合いです。
ジョアンさん一家は、マナーフィールズに住むフランス人の家族です。ジョアンさんは、妻が日本人以外でもっとも親しくさせてもらっている女性であり、長男のアリクソン君は、うちの息子と同年齢で同じナーサリー(保育園)に通っていることもあり、二人は大の仲良しです。肉弾戦を含めたボディ・ランゲージで、いつもキャーキャー言ってはしゃいでいます。アリクソン君の妹でお人形さんのようにかわいいタリアちゃんを抱いて参加してくれた彼女の夫は、ケンブリッジ大学で数学を修めたという物静かなインテリでした。
マイヤーさんは、マナーフィールズの住人ではありませんが、妻の最初の英国人の友人です。この日彼女が「マサミと知り合ったきっかけはとてもamazingだったのよ」と何回も言っていたとおり、彼女と妻はひょんなことから知り合いになりました。パットニーに住み始めて間もない頃、妻が近くのおもちゃ屋さんで遊んでいる息子をみていたところ、隣に同じように子供を遊ばせている女性が立っていて、それがマイヤーさんだったそうです。あれこれ立ち話をしているうちに家を行き来する仲になり、この日のご招待に至ったという経緯です。ロールスロイス社に勤めているという大柄な夫と3才くらいの息子ジョイセフ君とで参加してくれました。
私は、ジョアンさんやマイヤーさんとは今回がほとんど初対面だったのですが、共にとても話し好きで気さくな女性で、私をはじめ拙い英語の日本人家族とわいわいおしゃべりしていました。ジョアンさんは日本のカルチャーに対する関心がとても高く、タケシ・キタノやクロサワの映画が大好きらしいです(こういう時、我々は日本人として誇らしい気分になるものですが、野球を知らない英国人にイチローやマツイは通じません)。また、マイヤーさん一家は来年、北海道に観光旅行に行くとのことで、お薦めの観光地を熱心に取材していました。

気持ちのいい晴天の日だったこともあり、我々の初めてのバーベキュー・パーティは大成功で終わりました。大人たちは芝生の上で食べて飲んで話して何時間もの時間を過ごし、こどもたちはずっと裸足で芝生の庭と当家内を縦横無尽に走り回っておりました。バーベキューの「締め」として、ホットプレートで作ったヤキソバとオニギリを出したところ、英国人の皆さんは興味深そうに食べていました。
やっぱりバーベキューが病みつきになりそうな気配です。


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